Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

予防注射の夜

とにかく、忙しい週明け。会議から始まり、パソコンに向かい、
新企画に取り組み、再び会議、やっと昼食、再びパソコン、
査定が入り、打ち合わせを行い、「これでお願いします」
限りなく長く感じる午後。毎日の残業は当たり前だが、
早めに出て娘をピックアップしに行く。水泳教室のあと、
本日二人揃ってインフルエンザの予防注射の予定。
19:00予約で、ホームドクターのもとへ。


みみっぴで測ると何と37.4度もある私。嘘だろ?
これじゃ予防注射、やばいじゃん。娘は、36.5度。
水泳教室帰りでも疲れも見せず、元気。かーちゃん、へろへろ。
待合で上着を脱いで、脇の下で再度検温。36.5度と35.9度。
よかったー。ほっとする。仕事の関係上、絶対に必要な予防注射。
年越しでは困るのだ。ちゃんと、免疫ができていないと・・・。


駅前の雑居ビルの2階。胃腸科内科の先生は、4半世紀のお付き合い。
普段娘の予防注射は娘の主治医の小児科、もしくは行きつけの泌尿器科
今年はどこも予約が一杯で出遅れて、私の胃腸科内科で。
就職3ヶ月経つか経たずで、十二指腸潰瘍。見事にダウン。
その頃からのお付き合い。開業医となったばかりの先生も、
いまや全く、好々爺に近い。髪も真っ白、お年を召された。
もっとも私の頭も染めなくては白いものが目立つが。


午前の部の予防注射も15時頃までずれ込んでいたという。
結局呼ばれたのは20時過ぎ。注射が終わると21時前。
それでも、娘を初めて見る先生は「幾つになった?」とびっくり顔。
両親、私、娘。親子3代を診る先生となった。
娘に関しては小児科の先生中心で、ここには連れて来ていなかったのだ。

愛とユーモアと人生―聴診器とともに

愛とユーモアと人生―聴診器とともに


家族の入院をきっかけに、仕事以外にパソコンを使い、
ブログを読むようになり、お医者様のリアルな発言・生活を垣間見、
大変だなあと親近感を抱くと共に、危ぶんでしまう。
人の体を心配する以前に、倒れちゃうよ。大変だよと。
ホームドクターには今までも、あちこち勤務する先々に、
いざという時の紹介状を、転院先を配慮していただいた。


看護師の奥さんが以前、何とはなしにぼやいていた。
同業者に仕立てた息子は機械検査頼りで、患者に直接触れて診ないと。
長年勤めてきた看護師もやめてしまい、新しい人が入ると、
それはそれで色々あるようで、経営者としても悩みは尽きまい。
久しぶりに行くと、ちゃんと最新鋭の鼻からの内視鏡
いつの間にか禁煙外来まで開設。


私が知っている二人は、午前の診察が終わると
同じビルの1階のレストランで、仲良くランチを食べていた。
しかし、そのレストランも潰れてしまって別の店に変わってしまった。
四半世紀。主治医がいつまで主治医であり続けてくれるだろう。
いつまでホームドクターであり続けてくれるだろう。
家から最初の勤務地までで、当時一番近い内科医だっただけで、
通い始めたのがご縁の始まりだったのだけれど。

いま医療現場で起きていること―医師と患者、相互理解のために

いま医療現場で起きていること―医師と患者、相互理解のために

親と同様に年老いているドクターを見るにつけ、夜の診察は気が引ける。
しかし、実際仕事を休んで予防注射をしに行く訳にはいかない。
先生も休みたいだろうに、と思う。
以前点滴の時は、看護師さんはみんな20時で帰ってしまった。
パートの契約上? 色んな事情があるのだろうけれど、
夜の21時過ぎまで掛かる点滴が終わるまで、二人きり。
ベッドに寝ている私と、診察室で1人残業を続ける先生。
検査の時は、朝の8時から内視鏡室で待っている先生。
先生、いつお休みしているの?


どれほど通ったか、数え切れぬ診察室。処置室。内視鏡室。
検尿・採血・注射・点滴。私の内科の先生のイメージは、
先生に始まって先生に終わるのでは? という感じ。
穏やかで声を荒げた事のない先生。いつも、半袖の白衣で
「今日は、どうしました」から始まる先生の診察。
先生は私のお腹を知り尽くしている。視診・打診・触診・聴診。
耳の下のリンパ腺。基本を欠かすことなく診察するから。


まあ、難を言えば、肺炎の注射なんて要らないと両親に言った事。
私としては、四捨五入すれば80代となる両親に、ぜひとも
インフルエンザ以外、肺炎の予防注射をしてもらいたいのに。
何かを説得するのに時間のかかる両親なのに、困っちゃう。
まだ食欲のある二人だから、基本的な体力はあるのかもしれないけれど。


先生、運動しているのかな。食事どうしているのかな。
声は変わらないけれど、娘と二人で訪れれば、めっきりと老け込み、
診察のテンポも幾分ゆっくり。されど、年齢のせいではなく
疲れ切っていらっしゃるからだろうと思う。
先生、紺屋の白袴にならないでね。
何だか心細くなってきてしまう。


注射は抜群。ちっとも痛くないまま無事終わり、帰途につく。
注射で泣かなかったお利口さんに、マックのポテトで御褒美。
月は雲間に見え隠れ、星は全くわからない。
天気はきっと崩れるだろう。さて、娘よ。21時過ぎ。
今から宿題、本読み、九九だよ。まだまだ私たちも頑張らねば。
先生も、まだ診察室で仕事をしている。きっとね。

ドクター・エプロン―私は田舎の町医者です

ドクター・エプロン―私は田舎の町医者です