Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

横手から見ると

本日母の診察日。何故か、いつも増して混み混み。
予約時間の30分前に受付を済ませていても、順番はなかなか。
で、やっとのことで主治医にお目もじ叶い、
経過観察の検査の話となった時、「どこも悪くない、調子がいい」と
受け答えしていた母の動揺した表情と怯え具合といったら。
・・・申し訳ないが、ちょっと滑稽だった。
オマケに、検査の予約入れておきますからねと優しく答え、
パソコン画面に向かった先生。別人の口調で呟く。
「最悪だ」


何のことはない。画面がフリーズしている。
明らかに負荷が掛かって重くて遅い所に予約画面で、フリーズ。
パソコンに向かって何気なく「最悪だ」という言葉。
母にとっては「最悪な検査」と聞こえたのだろうか、
顔色を失っている。傍で見ている私は、申し訳ないが、
落語やコントを見ているような気分。
主治医、とうとうパソコン一から再立ち上げ。


父に付き添って貰って母を外に、
先生と2人であれこれ細かい症状について話し合う。
やっと立ち上がった画面に症状を打ち込み、検査室に
検査依頼の予約票を打ち込みプリントアウト。
電子カルテになってから、画面が重くて。
 ハードを補強しないで以前のままだから、遅くてすぐ止まる」
何故、私が先生のぼやきを聞いているのか・・・。
電子カルテ導入したものの色々あるのね、診察室現場では。

俳句と川柳 (講談社現代新書)

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川柳でんでん太鼓 (講談社文庫)

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贔屓のイタリア料理店に行く暇がなく、母の通院のついでにと
思っていたら閉店。げげ? 嘘でしょ。
シェフは去年暮れに結婚したばかりで、新しい人も雇い、
昨今色んなものが値上がりしたから正直苦しい、
食材以外にもやりくり大変だけれど、頑張らなくてはと
聞いていたのに、えええ? 閉店?


普段は通らない道、6年ぶりの泊りがけ出張にかまけて、
全然HPも見ていなかった。帰宅して調べてみれば、
何のことはない、移転。潰れたのではなくて、ほっ。
店の地所やウワモノの賃貸期限の事も聞いてはいた。
結婚を期に移転、めでたいながらも遠く離れてしまい、
簡単には行けない神戸へ。めでたき門出なれど、残念。
安心感と、ちょっとした疎外感。


まあ、生活も仕事も一新するわけね・・・。
心機一転巻き直し、な訳ね。
運転しながら、私は一人で驚き、ショックを受け、焦って、
寂しく、悲しく、調べて納得しても、侘しく。
私一人であれこれ感慨に耽ってしまう。
病院に行く毎日、病院の食堂には絶対入らない決意、
店を探した日々。家人が退院して食べに行った日。
娘のコンサート後、お食事に行った日。


こんな一喜一憂の私を横手から見ると、どんなふうに?
経過観察に伴う精密検査に動揺する母を見るように、滑稽?
仕事口調から素に戻ってパソコンに毒づき、愚痴る医師は?
横手から見ると、どんなふうに見える?
そう、全くの部外者ではない、少しかすっていたり、
かんでいたりするだけで、笑わなくてもいい所でも、
ちょっと滑稽に感じてしまう、変なツボ。


ファンタジー映画を論じるのに、非科学的な世界だと
真っ向から怒り狂って論じていたり、非難攻撃したり、
CGで製作者の好みで演出された世界に、
「許せない」と嘆いている人の意見を斜め読み。
ファンタジーの「お約束」を知ってか知らずか・・・。
ウソツキの主人公なんて許せない、
守護霊が動物なんて不気味、
三部作なんて詐欺だ、「冒険はこれからだ」で終わるな。
こんな意見も横から見ると、クスリと笑える。


「何でもかんでも受け入れてやるぞ」と迷惑なお客に優しい某。
客といえども場違い勘違い心得違いは許せないと、
「他のお客に迷惑ですから」と冷静に切って処理する、その同僚。
その仕事の仕方が心ないから絶対に許せない、受け入れられないと憤り、
矛盾を抱え、理想を求める余り、理解を示す姿勢に嵌り、
現実を見失い、周囲とのギャップに悩む某。堂々巡り。


次の機会を設けるから、今回はこれで呑んでんでくれと無理難題。
絶対にあるはずのない次の機会を質草に、何をしようという魂胆。
横車を押し、言った者勝ちの怖いものなしが、
物事、思い通りにならないとノイローゼになる可笑しさ。


一生懸命、一喜一憂、悲憤慷慨、その様相さえも、
ほんの少し斜めから見て横から見て、位相をずらせば、
何事もなく面白き、儚き浮世の戯言世迷言。
落語の世界でもあるまいに、ほんに斜めから見れば、
横から覗けば、あからさまでなくても面白い。
ほのぼのと切々と、しみじみとどうしようもなくやるせない。
それがまた面白く可笑しくて・・・。


日常生活のやっさもっさのやっつけ仕事、
ここ掘れワンワン、期待は山ほど疲れは死ぬほど。
そんな毎日のブラックユーモア、無言の哄笑、
目に見えず音に聞こえぬ物の怪の道連れ。
思い出す名台詞。「その道中の賑やかなこと」
そして、死人に口なし? 因果は巡る水車。
泣きながら良い方を取る形見分け。
顔には出さねど、泣き笑いの日々。

癒しのユーモア―いのちの輝きを支えるケア

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笑いの治癒力〈2〉ユーモアと死と癒し

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