Festina Lente2

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立山キャンプを終え

親にとって子供の成長は嬉しい。でも、何かしら一抹の寂しさ。
ほんの少し顔を見ないうちに、あっという間に変わってしまう子ども。
そう、子どもの旬は短い。赤ん坊の時の顔が毎日どころか、
時間毎に刻々と変わってしまうように、子どもの変化は早い。
可塑性の高さ、心身の融通がきくと言えばそれまでだが、
親にとって自分の子供と信じていても、予想外の結果は驚き。
嬉しくもあり、哀しくもあり、寂しくもあり。
こんな経験が毎日続く。特に、今日のように、久々に(大げさ)
娘と会うとなれば。4泊5日ぶりの再会。


とーちゃんとかーちゃんは、車を走らせる。
立山チャレンジキャンプから帰る娘のお迎えに急ぐ。
なのに、安いパーキングを選んで入れる所がせこい?
とっくにバスは着いていて、しまった!
迎えの人々の群れの中に両親の顔が見えず、
娘はさぞかしがっかりし、寂しい思いをしただろう。
お迎えがまだのほかのお友達、リーダーと共に待っていてくれた。
ごめん、ごめんよ。
誇らしい気持ちで冒険チャレンジして来たのにね。


娘はまるで別人のようにマシンガントーク
再会の嬉しさから、色々話したい事があるせい?
でも話し方もイントネーションも、雰囲気からして違う。
大阪弁の男の子としゃべっているみたい。
お世話になったリーダーから、色々報告も兼ねて話を伺う。
その間も横でちょっかいを出してきて、リーダーから
「今お母さんとお話してるから、待ってね」と制止を受ける。


何度もリーダーから言われた。「よく頑張っていました。
1人で出来ます。1人で持てます。大丈夫でした。
みんなから一杯応援してもらって、沢登も上まで登り切りました。」
そうか、そうなんだ。楽しかったね、良かったね。
リーダーに、いい所を沢山見て貰えて。
5分ほど立つと再会の興奮も醒めてだんだん大人しくなり、
もにゃもにゃしている娘にリーダーが声を掛ける。
「どうしたの、お母さんに会った途端甘えたになったね」
その言葉にちょっと傷ついたかな、拗ねた顔に。


だんだんキャンプの余韻、旅の余韻が治まって来て、
少しずつ少しずつ、いつもの娘の雰囲気に近付いていく。
それでも、まだ、私の知っていた娘ではない。
一回りも二回りも大きくなったというような感じではなく、
脱皮して別の生きものになって戻ってきたかのような、そんな感じ。
ああ、自分の娘なのに知っている娘ではない、そんな感じ。

沢登り (ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書)

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大学時代、キャンプリーダーの経験がある私は知っている。
キャンプ期間が長ければ長いほど、子ども達はリーダーに似てくる。
話し方、遊び方、笑い方、歩き方まで。嘘ではない、ホント。
担当外の子どもを観て、あのメンバーは○○リーダーの班とわかる。
グループのメンバーからも影響を受ける。特に仲良くなった子からは。
子どもが家庭の影響を受けて育つように、短期間のキャンプでは、
身近にいる人がお手本。感化され洗脳され、影響され・・・。
その変貌振りは、面白く可笑しく何とも言えない。


大学生のリーダーから、異年齢の集団から受ける様々な影響。
「ラジャー」「アイアイサー」「イエッサー」なんて言葉を、
楽しそうに使っている。おまけに大阪弁で「うち」と一人称。
宮城県人2世の私と三河人の家人は、仕事柄標準語が多い。
大阪弁も徳島弁も話せるけれど・・・。そんな家庭では、
こてこての大阪弁は確実に浮く。
しかし、今夜の娘は別人になったかのようにベタな大阪弁


娘の成長は嬉しい。でも、寂しい。
自分の見知らぬ所で積む様々な経験。家を離れて生活すると、
その後しばらく、「よそ」と「うち」の違いが話題になる。
比較してあれこれ考える年齢になってきた。これも成長の証し。
わかっていても、何となく哀しい。そして寂しい。
とーちゃんとかーちゃんは、夜も20時前後に帰ってくる君と、
どこで晩御飯にしようか、相談した。


で、君が好きだったファミレスを選んだ。本当に久しぶり。
徳島からやってくるとーちゃんを迎えに行った時、いつもここで。
入院しているとーちゃんと見舞いに行った帰りは、ここで。
草加に居た時も、子連れで行き易いこのチェーン店にお世話に。
何しろ、お食事が来るまでにドラえもんの塗り絵が出来る。


4つの君を、5つ、6つの君を連れてよく来た店。
その時のメニューや思い出が錯綜する。君の笑顔と重なって。
本当に久しぶり。君は懐かしい塗り絵をしながら、
食事が来るのを待っていた。合間におしゃべり。
外は稲光、あっという間に土砂降り。
北京ダックピザ、フォー・ガー、十穀リゾットを分けて食べる。
何種類ものドリンクバー。ポットで飲める沢山のハーブティー


キャンプの食事時、矯正器具をティッシュに包んでいたら、
ごみと間違えてお片づけ係の子に捨てられて、みんなでゴミ箱探した。
冒険アドバイザーの人はタフ、次の冒険グループのサポートに行った。
だんだん話し方が、いつもの娘の雰囲気に戻ってくる。
パクパクと食べる娘の姿に、幼児食を食べていた頃の君の面影を探す。
ファミレスでの食事は、子供連れの特権。
それにしても、この時間帯で娘よりも小さい子どもの姿も多い。
よい子はお休みなさいの時間だよ。


人の子の姿に、幼い自分の娘の姿を見出す。
目の前に居る娘が、自分の娘でありながら、
しばらくぶりに合うせいか、ちょっと実感がない。
成長前と成長後のズレが、誤差のように雰囲気の変化にベールを掛ける。
それもこれも、一番寝れば何てことはない、元通りになるか、
慣れてしまうかの問題なんだろうけれど・・・。


感傷的なのはかーちゃん。いつもかーちゃんだ。
君は、冒険の終わり、美味しい食事に満足して車の中でうとうと。
帰宅。頑張ってお洗濯の荷物分け。シャワー。
「こんなに沢山着替え、使わなかったよ」・・・そう?
ああ、時間はあっという間に過ぎて行く。
楽しく忙しく賑やかに、お湿りの夜は更ける。

(下書きが手違いでアップ直前で消えてしまい、再度書き直してアップ)

こどもと囲む団らん食―食育レシピ

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