Festina Lente2

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娘は12歳、グーグルは13歳

私が世間でいうところの「結婚」をした頃、グーグルは誕生したらしい。
特別なロゴが出るのは、娘の誕生日と重なっていると今頃知った。
昔はそれほど検索に熱中していなかったから、余り知らない。
その当時、パソコン通信のツリー書き込みさえ珍しかった。
相変わらず携帯は使わない生活。
それでも特に不便を感じることなく、今までの人生で最後の海外旅行。
「新婚旅行」に出かけた頃が、グーグル誕生の頃らしい。


翌年、超高齢出産の妊婦だった。
予定日より2週間遅れて生まれてきた娘の育児に没頭。
人生でもっとも誇らしいと感じていた頃。
1999年、アンゴルモアの大王ではなく娘を授かる。


2000年問題ですったもんだした割には、静かに明けたその年。
職場に復帰した秋。娘との人生最初で最後の蜜月は終わり、
保育園に育児の大半を託す形で生活が始まる。
紙おむつ不可の保育園のため、夜中2時頃20枚ほどのおむつを干す毎日。
それでも、初めて経験する保育園の運動会は楽しかった。


2001年、人生が二度あれば。いやいや、二度目の妊娠があれば。
そんなふうにも思っていたが、人生はままならぬもの。
世間でよくいう二人目不妊の時期。
というより、年齢的に不可能だったのかも知れない。
娘よ、神様はいいもの全部、あなたに注ぎ込んだのだね。



2002年、毎日が夢のように過ぎていく。別居結婚なれど、
仕事に育児にかーちゃんは燃えていた。
ただ、体力は気力を上回ることが出来ない年齢。
既に伏兵忍び寄るの公私共々の時期。
君はカワイイ盛り。目の中に入れても痛くない。



2003年、フェリーで行き来する週末が続くと思っていた。
夏を目の前にしていきなり家人の転勤。
徳島の海辺の週末の家から、いきなりの関東。
徳島から東京までフェリーに乗って迎える東京湾の朝。
新しい土地、新しい隣人、お稲荷様のご加護ある地名のもと、
新しい生活が始まる。揉めに揉めてすったもんだしたけれど、
人間やれば出来るもんだ、仕事も正念場。やりがいもあり、
娘も4歳を迎え・・・。



2004年、かーちゃんも転勤。
心身ともに消耗する否応ない現実から逃れ、
新幹線で通う長期休暇の別世界。
草加公園と八条図書館は憩いの場。
穏やかな行ったり来たりは日常となる5歳。
仕事中心の別居生活の中ですくすく育つ娘。
銀座の不二家や木村屋、街中散歩も楽しい。
電車にも慣れて、台風時の新幹線籠城もなんのその。
大阪と東京を行ったり来たりする自由席での昼寝、
サントリーの金色の雲たなびく高速道路。



保育園最後の夏を過ごす、草加公園の花火。
富士山を見に家族でバス旅行する、葡萄狩りの一日。
幸せな毎日がこのまま続くと信じていたのに、
娘の運動会の日に救急車で運ばれた、とーちゃんの入院。
転院に次ぐ転院で、検査とムンテラ、告知と覚悟。
家人の病室で迎えた君の2005年、6歳の誕生日。
とーちゃんの個室でクリスマスを祝う冬。



春の若木のようにすくすくと君は小学1年生。
かーちゃんととーちゃんは、医学の進歩だけをよすがに、
入学式に臨み桜吹雪を浴びた春。
とーちゃんの半年近い入院を終え、
桜を見ることができる春を数える毎日、2006年
その毎日、「とりつくろわれた日常」を、記録する?
憂さ晴らしする? 出かけよう、できる限り。
許される時間、手に入れる時間、君と共に過ごす時間。
君の小学校1年生の運動会、ばてたかーちゃんは入院。
交互に入院する親にもめげず、君はどんどん大きくなる。
とうりゃんせとうりゃんせ、気は7歳。



7歳から8歳、幼子の面影が君の顔から少しずつ消えていく。
どんどん世界が広がるように、君の個性は芽生えから若葉の時期。
泳ぎ、歌い、学び、遊び、世界が弾けるような毎日。
でも、君の個性は世界の不協和音に気づく。
厳しいピアノ、そりの合わない担任の先生、退屈な学童。
そんな君の毎日を思いやることもできないまま、
かーちゃんは自分の時間を過ごしてしまった。
この時学童をやめさせて、新しい習い事でも・・・。
今更悔やんでも遅いけれど。2007年。
そんな中、君はビギナーズラッキーで百人一首入賞。
DS時雨伝で鍛えたかるたが大好きな女の子に。


2008年、君の新学期早々、かーちゃんは再入院。
放任主義の学級崩壊寸前の状態で、君はマイペース。
安定した体調の元、一泊程度の旅行ならどうってことない。
とーちゃんとかーちゃんは君と過ごす休日に執着。
生活を維持させるための仕事を忘れて、
学校ではどんなことがある野かも忘れて、
美山にドライブ、君は長期休暇をキャンプに、スキーに、
そして登山にと頑張る日々。君は9歳。
騒がしい学校の中、これでいいのか習い事。



学童も終わり、自由な時間を成長のステップにできたかどうか。
かーちゃんが迷う間、君は泣いてピアノをやめたがる。
塾にも行かせず、習字や算盤も習わせず、のんびり構えていた、
世間知らずのとーちゃんかーちゃんは、君と過ごす夏。
別々の親子サマーチャンプで奈良と京都へ。
親が子供を成長させるために、甘々で過ごしてきた反省。
しかし、子育ての基本を話し合うには離れて暮らし過ぎた。
君はとうとう大台に乗る、2009年、君は10歳。



何だか春休み中ににょきにょき背が伸びて、
だんだん何を考えているのかわからなくなってきた5年生。
君は11歳。音楽部で活躍するアルトとメゾソプラノ
新しいピアノの先生で個人レッスン。
ヤマハを離れて、クラシック中心の練習でめきめき伸びた。
かーちゃんが家でちょっかい出せるのはあと何年?
受験がちらつくようになってきた小学校高学年。
21世紀も10年を過ぎようとしていた。



2011年、君は小学校生活最後の年を迎えている。
これから運動会、修学旅行と予定が目白押し。
親と過ごすよりも友達と過ごす方が楽しい。
お年玉をこっそり使い果たして大人買いの漫画の隠し場所に困る。
整理整頓ができないところは、かーちゃんそっくり。
とーちゃんが骨折し、手術、リハビリ、やっと普通に近づいてきた
その歩みに合わせて、まだまだもう少しゆっくり家族の時間がほしい。
そんな秋。

十二歳 (講談社文庫)

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新編 ぼくは12歳 (ちくま文庫)

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