Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

マルガリータに逢いに行く ― 静物画の秘密展

アップが遅れているので、ご心配をおかけしているかもしれませんが、
お陰様で母も元気で、私たちもいつもの生活です。
年度末ゆえ、少々時間的なゆとりがないだけです。
こちらに立ち寄って下さった方々、ご安心下さい。
(3/18)

−−−−−−−−−−−


母の骨折がまだ軽症だったのと、
週末は気晴らしして来いとの老父の言葉に甘え
(実の所、双方お互いのペースでのんびりしたいというのが本音)
親子3人で久しぶりに美術館へドライブ。
雨天の為公共交通機関をパスしたが、晴れ女の私の威力、
到着したら青空が広がっていた・・・。
兵庫県立美術館http://www.artm.pref.hyogo.jp/ 久しぶり

本来の予定が延び延びになっていた、私の願い。
そう、マルガリータ王女に逢いに行くという望み。
初来日の美女というには、余りにも幼く可愛い王女様マルガリータ
哀れにも22歳という若さで亡くなり、
世界に残る肖像画でその愛らしさを知られているるマルガリータ
ベラスケスの描いた絵の中で永遠に静物画として佇むマルガリータ
その本邦初公開の「ばら色の衣装のマルガリータ王女」
彼女が3歳の肖像画に逢いに行くのが私の願いだった。

ウイーン美術史美術館所蔵の名画。私がこの美術館に行ったのは何時のこと?
最低2度は行ったはずだが、何しろ新婚旅行以後海外旅行とはご無沙汰。
独身時代、大好きだった美術館巡りも、今や国内でさえままならぬ毎日。
なのに、神戸にベラスケス・ルーベンスブリューゲル・ステーンが来る。
これを見ないでどうしましょう。渋る家人をせっついて、
雨の中車を飛ばして到着は正午。カフェでランチ、
13時からの常設展を含めた現代美術展ガイドツァー45分間に参加。
「観る」為のウォーミングアップを済ませてから、
本命「静物画の秘密展」に・・・。

と、その前に14時からピアノデュオによるミニコンサートも鑑賞。
様々な現代アート鑑賞ミニツァーの緊張をほぐした。
ピアノデュオ ドゥオール(藤井隆史&白水芳枝)リサイタル。
(公式サイトはwww.yoshie-takashi.com)
ギャラリーにて無料で鑑賞できる「美術館の調べ」こんなところで音楽が。
心憎い演出でしょ。音楽も美術も楽しめる欲張りな企画です。
そしてこのデュオのお二人がとても話し上手で、コメントが楽しい。
本日の演奏テーマは音楽のパノラマ。デュオ・ソロとも鑑賞。

Deu'or

Deu'or


プログラムはモーツァルト歌劇「フィガロの結婚」序曲。
スカルラッティピアノソナタは町長L104、イ長調L345(ソロ・白水)
バッハ「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」ショパン「大洋」(ソロ・藤井)
ブラームスハンガリー舞曲集 第一集より第1番、第5番
ブラームス交響曲第3番 ヘ長調 op90 第3楽章
ブラームス:大学祝典序曲 op.80


この兵庫県立美術館はうわものだけでも200億円を掛け、
所蔵品に至ってはどれだけ予算を付けたのか、県民のみならず
近在近郷から集客率稼働率を上げるため、様々な催し。
まず金・土両日は20時まで開館、県内の小中学生無料。
あの手この手の企画を立ち上げ、頑張っている美術館。
神戸も青息吐息と言うけれど、素晴らしいもてなしと企画。
博物館・美術館の役割などに理解の無い、上っ面の水都構想や
イルミネーションにこだわるどこぞの府知事の仕打ちを忘れ、
御隣の県にお邪魔し、ゆったりと過ごす。
未来への投資の上に築かれた、夢のような心を育てる世界が広がる。


母のことで色々あった先週の出来事をひと時忘れて、
人の言葉による作品の説明に耳を傾け、ピアノの調べに酔い、
静かな静物画の前に佇み、物思いの世界に耽る。
家族全員1人ずつ解説テープを借りて、それぞれのペースで鑑賞。
この美術館は非常にゆとりのある構造なのと、混んでいないので
とても楽に観て廻ることができるのが嬉しい。


写真のなかった時代どれほど喜ばれただろう、精密な静物画。
メメント・モリをはじめ、哲学的道徳的な示唆に富む、
様々な寓意な寓意を込めて、或いは単純に指揮の恵みを写し取り、
質感・輝き・色合い、移ろい行く現世を表現する画家の筆の妙趣。
鮮やかな花々、新鮮な魚介類、静謐な品々、人々の姿態、
どちらかというと音のない世界なのに、穏やかな雄弁さ。
一つ一つの絵の前に立ち、その背景を思いやる。
人々の生活そのものに、或いは時代の流れに、富と栄光、
堅実な生活、儚い夢、ひと時の安らぎ、懐かしさを感じる景色。

         

3歳のマルガリータはあどけない顔をして佇む。
22歳で亡くなった高貴な姫君。その成長を知らせるため、
また見合い写真代わりに、画家によって描かれた貴重な記録。
ああ、親の気持ちになってその写真にも等しい肖像画に見入る。
かつての娘の乳幼児期を思い出し、その後の成長を、
そして未来を思い描きながら、マルガリータの前に佇む。
王女よ、王女よ。
この瞬間、マルガリータは娘と重なるように私を見返す。

さて、我が家のマルガリータは鑑賞後子供のスペースで、
パズルを楽しんだり、飛んだり跳ねたり、
常設展会場に戻って、色彩構成の貼り紙を楽しんだりと忙しい。
私たちも20時までの展示時間を有効に使って、カフェで休憩しながら、
小磯良平をはじめとする、日本人画家のコーナーや、
ユニークな作風で知られる、東山嘉事の不夢不無ワールドを楽しんだ。

盛り沢山な企画、展示、様々なコーナーを楽しんだあと、
家人の希望で中華街へ。時間帯のせいでお目当てのお店を楽しむのは
無理だったけれど、簡単に食事を済ませて帰途に。
夜の三宮・元町は白木蓮が夜空にぼんやり映えて、春の趣き。
異国情緒を醸し出す町並みが、夜風に吹かれて広がっていた。

 

さて、3月29日までのこの美術展。行かれる方はお急ぎ下さい。
特に週末は記念コンサートを含め、様々なイベントがあり、
要チェックですよ。例えば、21日(土)14:00〜15:30
【「ウィーン美術史美術館所蔵・静物画の秘密」展関連イベント】
記念コンサート 「マルガリータの故郷・スペインの風」なんてね。
お近くの方はぜひ。無料です。


難を言えば、駐車料金は高いのでスルットkannsaiなどご利用の上。
公共交通機関がお得。3日間チケットが特にお得。
ああ、これで英気を養ったので、来週のハードな日々は頑張ろうっと。
先にご褒美を貰って、お仕事お仕事です。