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バーレスク

今年で切れるポイントを使い切らねばならない。
TOHOにレイトショーで「バーレスク」を見に行く。
映画でレビューを見ている感じ。ショーとして楽しむなら十分。
60過ぎても美しいシェールに感激。


ロマンチック、エキゾチック、そんな言葉なら知っている。
でも、バーレスクって? 何だか変な言葉だなあ。
それに自慢じゃないが、アギレラは知らなかった。
若手の歌姫らしいが、私の守備範囲ではない。
今回見たかったのは新旧の歌姫が火花を散らす競演ではなく、
旧の歌姫シェールが映画に出ているからに他ならない。
もっとも、歌姫としてのシェールの活躍をそれほど知っているわけではない。
私は彼女がかつて出演した映画『月の輝く夜に』の大ファン。

ベスト・オブ・シェール

ベスト・オブ・シェール


あの時もユニークなストーリーにユニークな役柄だったけれど、
今度はどんな風に演じるのか、本職の歌をどんな風に披露するのか、
とても興味があったから。
何しろ数年前退職したいかつい先輩が、職場に新しく入ったパソコンに、
私物のCDを掛けてニコニコしていた終業後、忘れもしない、
それはシェールのコンサートDVDだった。
何でこんなものをと思っていたが、よくよく考えれば、
先輩とシェールはほぼ同年代。若い頃からのファンだったのだろう。


主役ではない脇役を演じるのは、スターにとっては結構大変なことだ。
それも、役柄の上でも年齢的にも、座を明け渡さなければならないような、
全盛期を過ぎたとみなされるような立場に立たされることは、
なかなか屈辱的なことではないだろうか。
それとも、その挑戦を立って受けるという構図が、受けるのかどうか。
ともかく、周囲はシェールに並々ならぬ気を遣っていたに違いない。


人生をショービジネスに、それも大人の魅力とお色気たっぷりの、
きわどい歌とダンス、一つ間違えれば下品で猥雑以外の何物でもない、
セクシーな大人の世界、熟れた艶めかしい世界を演出する、
その仕掛けを作るのに人生を掛けているといってもいい、
その中心に全身全霊で立っているといってもいい、
役柄と実生活がダブってくるようなシェールの存在感。
美しさ、歌声、ベテランの貫禄十分、ど迫力だったステージ。


そして、初々しい小娘が実力でスターダムにのし上がっていく様子を、
ありえないような純朴な恋愛を交えながら演じるアギレラ
なかなか良かったんじゃないだろうか。
田舎娘風のねーちゃんから自信たっぷりの、純真な恋心溢れるアリ、
ことアギレラの役の上での変身、成長過程は実に見ごたえが会った。
きわどいショーも映画で見るレビューとしては、迫力満点。

バーレスク オリジナル・サウンドトラック

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バーレスク [DVD]

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ショーの世界の舞台裏、人間関係、人々の思惑、
生身の人間が舞台の一部になりきって一夜の夢を見せる、
バーレスクの世界を堪能。こういうショーを普段見ることはできない。
ショーの世界は非現実的な非日常。
それを分かって気兼ねなく楽しむことが出来る映画の観客。
この見応え十分なショーの、強いて言えばバックステージツアーを
映画を見ることで経験しているようなもんだし。


ちょっとばかし、『オール・ザット・ジャズ』を思い出した。
あれもショー・ビズの話だったけれど、なかなか展開は辛かった。
こんな風に命を削りながら、笑って誤魔化しながら、
薬漬けの体で、創りたいものを模索し続けるのかと、
興行主は損得勘定ばかりしているのかと嫌気がさす部分も。
今回も金策で苦労していたけれど、あっけない解決の仕方で
ちょっと甘い展開だとは思ったが、悲劇で終わるよりは
ハッピーエンドの方が好きだから良かった。
これが今年見る映画の見納め。