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ソルト

 
娘とTVで映画『ソルト』を見る。
これもあんまり救いのない映画だった。
要は冷戦時代の亡霊ともいえる、敵対勢力が米国を脅かそうとしている、
それを阻止するのは、その敵対勢力に育てられた筋金入りの二重スパイ。
しかし、彼女には愛する夫がいた。人質に取られた夫を救うために、
持てる力を振り絞って、世界中を巻き込む核戦争を防ごうとするソルト。


なかなか面白かった。
でも、これはアンジェリーナ・ジョリーだから絵になる映画。
周囲の男性は、脇役なんだなあ。
というか、誰も彼女の気持ちをわからずにいる。
彼女の孤独を癒してくれたただ一人の存在、
夫は自分を育てた反体制勢力にあっけなく殺されてしまう。


なぜそんなに簡単に脱走できたり、並みいる相手に一人で勝てるのか、
いくら銃をぶっ放しても、カーチェイスを切り抜けても、
高層ビルを渡り歩いても…、見せ場が沢山あり過ぎて
ジェットコースタームービー、最後はやっぱりそうなりましたか、
予想される展開で…。


違ったのは、続編を作るつもりなのか、ご想像にお任せします。
そんな、まだまだ何かありそうな、そんな終わり方。
ちょっとすっきりしない。
生き延びて、そしてどうなるのだろう?
本当に、残る敵対勢力を彼女一人でどうにかできると?


大抵スパイ物の映画は男性中心なだけに、アクションあり、
女性が中心、逃亡劇、ドンパチ接近戦、肉弾戦ありの設定は
見応え十分、何でもやらされて、
「できる女性、強い女性」の役柄をこなすのは、
大層しんどかろうなあ。
でもある意味、それが快感なのかなあと、
余計なことを考えてしまいながら見てしまった、ソルト。


塩味のきいた女性、ということでしょうか。
コードネームがソルト。個人名がイブ、というのが、
なかなかいろんなことを連想させてくれて、面白かった。
深読みしながらも、他の男性名を忘れてしまった。
きっとコードネームと通り名の間には、
何らかの関係が隠れていたかもしれないのに。


CIAに入った旧ソビエトの、叩き上げの女スパイが、
NATOの軍人に変装して、基地に侵入、
最後まで隠れていたもう一人の二重スパイと戦い、
最後には核ミサイルの発射を止める。
結婚記念日をめちゃくちゃにされ、デスクワーク職に代わろうと、
穏やかな人生を送ろうとしていた女性の全ては、たった25分間の任務遂行で、
穏やかだったはずの全てを失い、孤独な戦士として生きていく、
そんな展開、変貌劇。


スパイに幸せなんてない。
だまして隠し遂せるものはない。
国は自分を守ってはくれない。
何が言いたかったんでしょう、『ソルト』。
ハードボイルドな戦いよりも、すべてを奪われた女性の復讐劇、
そんな感じの映画だった。

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