Festina Lente2

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大仏の掌に乗る授業参観

6年生になった娘の授業参観、2度目。
さて、本日はいかなる内容か。おや、どうやら社会らしい。
いや、歴史の授業というべきなのだろう。
導入は今までのおさらいを兼ねてクイズ形式。
「埴輪」「三内丸山古墳」「卑弥呼」「土偶」などなど、キーワード提示、
縄文・弥生、古墳、いつの時代のものか、手を上げて答えさせる。
低学年の時のような元気の良さは感じられないが、それでも何とか、
みんなそれぞれ手を上げて答えている。ルールを無視して口々勝手に叫ぶ、
そういう児童はいないようだ。


一通り説明したり、教科書を開けて確かめてごらんと指示したり、
何でもトップダウンではなく、工夫を凝らして授業を進めているのがわかる。
さて、本日のメインは東大寺大仏殿についてのよう。
大仏の高さ、大きさ、そういうものを再びクイズ形式、三択で。
次に見せるのは、長方形。これは何かな? その長方形と同じ大きさを、
新聞紙で切り抜いて、くぐり抜けてみたい人! 男子数人、チャレンジ。
そう、東大寺の柱に空いているあの、あの穴、みんながくぐっている写真。
「くぐったことのある人?」元気に手を上げる生徒の中で、小首をかしげる娘。


そうか、記憶にないんだね。君が保育園年長さんの時に行った東大寺
とーちゃんが病気で入院中、正倉院展の時に連れて行った東大寺
鹿に餌をやり、薄曇りの小雨模様の中、元気に君は通り抜けた。
「ここをくぐったら賢くなるんだよ、御利益があるんだよ」
かーちゃんと二人で過ごした奈良の午後。君の記憶には無いのか。残念。
もう一度、のんびり行ってみたいね。


この穴は、大仏のどこの部分と同じかな? 再びクイズ。
そう、鼻の穴、正解。みんなびっくり。でかい鼻の穴だなあ。
再び、先生は大仏の写真を提示して、右手の掌を指し示し、
実物大を紙で作ってきましたと見せる。おお! 180センチを超える先生より、
でかいでかい白い紙の掌。「この上に何人乗れるかな?」

試してみることになった。出席番号順にみんなが掌の上に乗る。
その様子、足もをとカメラで写してプロジェクターに映してくれるので、
授業参観のお母さん方は教室の後ろからでも、子供たちの様子がよくわかる。
とうとう、クラス全員乗れてしまった白い紙の大仏さんの掌。凄い凄い!


親の自分の方が感動してしまった。
子供たちは大仏の手の上にクラス全員で乗ったことを忘れないだろう。
それくらい巨大な大仏を作ったということ、東大寺の大仏のことを決して忘れないだろう。
先生はまとめに向けて大事な質問。「どうしてこんな大きな大仏を作ったのかな?」
色んな答え、正しいもの、言い方の上手なもの、教科書通りのもの、
それらを黒板にまとめようとするが、今ひとつスペースが足りない。
何しろマグネットで止めた大仏の掌が邪魔をして・・・。(笑)
いい授業参観だったなあ・・・。

新装版 奈良の大仏 (日本人はどのように建造物をつくってきたか)

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奈良の大仏をつくる (図説 日本の文化をさぐる)

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しかし保護者懇談は悲惨だった。殆どみんな残らない。
わずか4人。それも男の子のお母さんは、誰も残らないのね。
なぜ? PTA活動ってこんなもの? 今までの年配の先生からも、
保護者がなかなか残ってくれないという嘆きは聞いたことがあったけれど、
最高学年のクラス懇談会でこの状態とは・・・?
きょうだいがいるから、別のクラスに? それとも、興味がない?
心配なことや相談すべきことは個別でないと、話し合いの場は持たなくても平気?
一人っ子を、それも高齢出産で育てていてママ友達の少ない私は、
せめてもの参考にと出てみたら・・・。


一人の保護者のモンスター的な発言に振り回されて、思わず、
学校側、先生側を弁護したくなる気持ちに。
それでなくても最近、日々、理不尽なクレーマーに振り回され、
目眩と脇腹、顎の痛みに悩まされてしんどかったのに、
壊れた目覚まし時計のように同じことを繰り返し続ける執拗な発言に、
どこで引き取って貰って話題を変えればいいのか、ただただ唖然。
担任の先生があまりにもお気の毒だった。
せっかくすばらしい印象的な授業をされていたのに、その余韻に浸ることもできず、
さんざんな保護者懇談会。


貴重な時間を無駄に費やした感じ。
先生からもっと色んなことを教えて頂きたかったし、
情報交換もしたかったのだけれど、どの問題・話題に関しても、
その保護者がすべて一人で引き取ってしまって、何もかも話し続ける。
そうか、彼女のことを知っている保護者は、彼女が残っているのを見た瞬間、
帰ってしまったのかもしれない。そんな風にさえ思えてきた。


何だか、保護者懇談会でクレーム処理をしているような気分になりながら、
帰宅。どっと疲れがこみ上げた。そして、不安になる。
娘よ、君は毎日どんな風に過ごしているのか。
大好きだったクラブ顧問が転勤し、クラブを辞めてしまったので、
覇気を失い、毎日かーちゃんは気がかりでならないよ。
朝元気に起きてくる、君の姿が6年生になってから見られなくて。


静かにヒステリックに不安になっていくのは、かーちゃんの方。
仕事優先で毎日時間に追われて過ごしているツケの大きさ、
お互い寂しく生活する時間の大きさに、おののいているのは、
先行き不安なかーちゃんの方だ。
娘よ、君の毎日は、これから広がっていくのだけれど、
いったいどんな風に学校で過ごしているのか。


クレーマー、モンスターペアレンツの延々と続くクレームに、
保護者懇談会は雲散霧消。じっと聞き入る先生の姿に胸が痛い。
尻すぼみになってしまった授業参観。
どんな学校生活なのか、いらぬ不安を掻き立てられてしまった。
かーちゃんの不安や寂しさは募るばかり。

モンスターペアレントの正体―クレーマー化する親たち (シリーズCura)

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