Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

オルゴールに魅せられて

本日は終戦記念日なれど、昨日の記事の続きの話題。
ホール・オブ・ホールズ六甲というと、わかりにくいけれど、
ここ六甲ではちょっと有名なオルゴールミュージアム


六甲高山植物園の隣、オルゴール・ミュージアムにて。
見るからに瀟洒な建物の前には、真っ白のなユリが咲き乱れている。
夏の夕べ、自然の花の香りを楽しみながら洋風建築の館に足を踏み入れると、
その2階は出番を待つ大掛かりなオルゴール達がずらり。
(3階にも様々なオルゴールがあるらしいが、じっくり眺めている時間がなかった)


    
  


今日は定例の演奏会の他に、星空コンサートがある。
2回の演奏を聴くために、あちこち見て回る時間が少足りない。
ホール・オブ・ホールズ六甲の特別のプログラム、
プラネタリウムで100年前の星空を楽しみながら、
美しい音色に身を任せるという趣向、ああ、ロマンチック。


    
  


オルゴールそのものは知っていても、昔発明されたあと、
どのような変遷をとげたか、どんな工夫が為されているのか、
どういう仕掛け、曲、当時の扱われ方など、
歴史的・民俗学的なことは何も知らない。
だからホールにずらりとあつめられた大きなオルゴール、
土地も海もないスイスの時計技術と裏表で発展した、
精密機械の絡繰りオルゴールを目にして、目が点の連続。
これが果たしてどんな音色を奏でてくれるのだろうかと、待つことしばし。


    
  


学芸員さんを兼ねるホールスタッフが加えてくれる説明に、
いつもとは異なる柔らかなお勉強の雰囲気、こういうのもいいなあ。
様々な形のオルゴールを見るに付け、人間って本当に工夫好き、
あれこれ想像するのが好きなんだなあと、改めて思ってしまう。
無骨な箱では駄目で、見せ物として価値ある人形、仕掛け、
目を引くストリートオルガン、あらゆる楽器を演奏させたいとバンドマシン。
オルゴールへの要求は数限りなくうなぎ登りといった感じ。


    
  


さて、説明と同時に最も気になる存在。
スタッフがランプを点すと、文字を書き始める人形。
人形が居眠りすると、ランプの光も消えてしまうという芸の細かさ。
こんな風に異次元に導かれて、満天の星を天井に見ながらオルゴールの音色。
こんな時間が、毎日の生活の中にふっと流れ込んでくる不思議。
八月の真ん中の日曜日、家族3人、六甲で植物を眺め音楽を聴き・・・。


    
  


でも、この美しい時空間を満たす音色を細工するまでの過程を思うと・・・。
円盤やシリンダーに彫られたり植え付けられたりした針が寸分でも狂えば、
音もリズムもおかしくなってしまう。職人芸の手仕事の細かさに脱帽。
まこと、芸能、娯楽、趣味、音楽、癒しの世界は高価なものだ。
庶民の楽しみとして、コインを投入して音楽を聴いたとしても、
それはそれで、庶民にとっては贅沢な楽しみ、余興だったに違いない。


    
  


流れるメロディーは当時流行ったのもの。どこかで聴いたことのあるものもあれば、
初めて聴くようなものも。いずれにせよ、オルゴールの音色は魅惑的。
小さなゼンマイ仕掛けのかわいい音を、増幅して私たちをびっくりさせるほどの音にする、
様々な形の共鳴箱、反響版。時計や宝箱のような板囲いはこのためにある。
分かり易く実験をしてくれるので、説明はとても楽しい。


    
  


夕暮れも迫ってくる。普段より開館時間が一時間長いとはいえ、
のんびり鑑賞・散策している時間も残り少ない。
高山植物園お隣だけあって、手入れされている花々も美しく見応えがある。
ああ、ここでも2度目のお茶を楽しむ時間が欲しかったなあ。
その名もシュトラウスカフェ。オルゴール全盛期はシュトラウスの活躍した時代。
ウィーンにちなんだメニューがあるというカフェを堪能したかった。


    
  


外にもかわいい小鳥の小屋の形のオルゴールがあり、池の周りが散策できる。
曲名を聞いて答えるクイズラリーを楽しむ娘。
屋外にこのようにオルゴールが設置されていること自体に驚く私。
偶然、家人と私が同じアングルで撮った写真を見比べて下さい。


    
  


ここでもかーちゃんは、家人と娘が午前中から腰を上げる人間であれば、
もう少しあちらこちら見て回れるのにと貧乏根性丸出しで苛々。
オルゴール組み立て工房もあるのはわかっていた。
しかし、あれもこれも一日のうちに予定を詰め込みすぎるかーちゃんと、
非難されるから致し方ないのだが、そうそう、何回もすぐに来るというわけには・・・。


    
  


お土産に買うまでもなく、次に来る時は作る時と思い定めて後にする。
せめて写真だけでも・・・。

  


きっと次回来る時は、夏仕様ではなくかわいらしく衣装替えをしているだろう、
出入り口の飾りに別れを告げて、記念に1枚。
欲張りの私たちは、実はまだ予定がある。夜は須磨で過ごす予定が・・・。