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切手を切り離せない若者

さすがに実質1週間休むと仕事が溜まっている。
殆ど全てを片付けた後で倒れてよかったと思うのも束の間、
モチベーションを上げるのは大変。
切れた糸を繋ぐ作業は、理性が必要だからこそ、
却って難しい領域。


さて、郵便物を持って気分転換がてら近くのコンビニへ。
切手を買って貼って出そうと・・・。
この界隈にはポストがなくて不便だったのだが、半年ほど前に、
コンビニが出来ると同時にポストも出来て便利になったといえばそう、
近所が落ち着かなくなったといえばそう。
居ても居なくてもいいような連中が溜まることも多いので、
コンビニというものは考え物だなあと思う。


されど便利さに負けてちょくちょく御用達状態。
さて、滅多に郵便局以外では買わない切手を頼む。
? おいおい、絵柄を破っちゃ切手として通用しないよ。
貼ったら突き返されてくるんだよ。不良状態の切手は?
目の前に居る若い店員の手元不如意、危なっかしいことこの上ない。
新人なのか? 切手をろくに扱えないとは?


90円切手がないので10円と80円の切手を一枚ずつ取ろうとして、
四苦八苦とはこれ如何に? 足し算が出来ないのではない、
切手を千切る、切り離すことが出来ないで時間を食っている!?
今時の若者は手紙なんぞ書いたこともなければ、
切手を使ったこともない。使うというか扱ったことが無い・・・。
そんなケータイメール世代の若者が、郵便局で速達だの現金書留だの、
全く知らない者が多い、ということは知っていた。
が、それは切手を扱えないことと同義だったとは。

日本切手カタログ 2012

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NHK 美の壺 切手 (NHK美の壺)

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バイト君、切手なんぞ生活の中に無いアイテムなんだろうな。
実生活では触ったことが無いのだろう、商品としてコンビニで扱っていても。
ミシン目に沿って細かいものを切り抜く、
折り取るという一連の作業が出来ず、
たった一枚の切手を己が指先で扱いかねている。
その不器用さたるもの、進化した猿の末路。
生活経験に根ざしたことの無いものを扱う難しさ。
指先で器用にケータイメールを打ち、スマホたら称するものを、
撫で回して情報を取ることに長けてはいても、切手一枚千切れないとは。


やれやれ・・・。こんな所で時間を食うとは。
というか、切手を扱える世代である私はこの時代、前世紀の遺物か?
手紙を書いて、切手を貼って相手に手渡される、
それが素晴らしいことだと思い、旅先から絵葉書を送りたくなる世代。
ケータイの写メなど送ったことも無い世代。
パソコンの前に座って添付ファイルを扱うことはあるというに。


予め切られた切手を渡されたことはあっても、
シートから切り離すということが出来ない世代。
恐らく私の娘もこの世代に属するのだ。切手を扱えない世代に。
そう思うと、鉛筆を削れないだの、箸が上手に持てないだの、
同時に、紙の本がめくれないだの切手が切り離せないだのは、
これからの若者にとっては恥ずかしいことでもなんでもない、
「出来なくて当たり前」なことになっていくのか・・・。


アンケート集計でエクセル画面に打ち込む書類を、
昔取った杵柄の珠算、伝票算の要領で左手でめくりつつ右手で数字をさばく、
(実はその間に数個の数字は暗算で処理されている)そういう要領、
指先の動きは、今となっては珍しいものになりつつあるのだろうな。
そんなことを思いながらコンビニを後にした昼間。
郵便ポストは四角く赤い。
丸いポストに手紙を入れることが無くなって何年か。
私用で手紙を書いて人に送ることが殆どなってしまって何年か。


用件のみのメールに余りの味気なさを感じて、近況など描いてしまい、
手紙めいたメールを送ってしまう自分の、古い古い感覚を、
如何せん、如何せん。

IT’S A STAMP WORLD!―切手に恋して

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事情のある国の切手ほど面白い (メディアファクトリー新書)

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