Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

教会は現代美術館

(写真はすべて大きくなります)

6月からの引っ越し騒ぎで落ち着かず、
美術館にて「非日常」という時間がなかなか取れぬまま、
今回の海外出張にやや期待。
異国の地でこそ美術館と思って来てみれば、
展示会場用に新しく造られた建物はなく、
信仰心の関係から信者が集まらなくなってしまったのか、
教会の建物が町の美術館になっているそうな。
というわけで、1階建て平屋が殆どの地域にあって、
塔を持つ建築物といえば宗教的な求心力を持っていたはずの、
教会・・・がピンク色というのが違和感大。


  

  


昔ロシアがソビエト連邦と言われていた時代、
30年ほど前に訪れたモスクワ近郊では、
民芸品や生活必需品、農具などを飾った展示が殆どの教会、
どう見ても博物館にしか見えない教会を沢山見た。
そして、ロシア正教の美しいイコンが飾られているような、
信仰の対象として存続している気配のある教会内には、
立ち入り禁止として入れて貰えなかった記憶がある。


  

  


全く事情が違うのがわかっていても、それくらいの違和感。
今風に言えばアウェイな感じが漂う教会内の展示物と、雰囲気。
高い天井、もしかしてパイプオルガンがあった場所?
床の模様や柱の雰囲気が、質実剛健な教会の雰囲気を残す。
そこには生命の神秘を揶揄した芸術とも遊びとも言える、
試行錯誤の跡が山のように展示されていた。


  

  


おまけに使われなくなった教会の中は、現代アートの展示会場。
2階に至っては子ども達の音楽教室や演劇、ダンス教室。
空き部屋を貸します状態で、何だかびっくり。
どう見ても公民館的な使用状態。
修道女の服とベッドの展示だけが昔の面影を・・・。
ってことは、元々は修道院だったのかな?
教会跡と聞いてやって来たのだけれど。


  

  


それにしても、先住民と言われたアボリジニの姿を見ない。
ここにあるアートはその芸術の系譜にしか見えない。
かつて教科書で習った白豪主義と言われた地に、
今は使わないと言うが、
名誉白人」の尊称的蔑称を抱く人間としてやって来て、
誰もいないこの建物の中で、一人展示を眺める。
土曜日の午後は確かに、ますます「非日常」。
建築物の内部構造だけが、馴染みのある教会を思い出させる。