脳ドックと散財
職場で脳ドックを申し込んでいた。
職面で人間ドックができるのと同様、息抜きも兼ねて
繁忙期を除く休みが取れる日を捜して利用するつもりだった。
しかし、それももう必要なくなってしまった。
たまたま、この日に滑り込むことができたのは、
休みを取ろうかどうしようか、まだ迷っていたから。
気分転換は、地元から遠く離れた場所に限る。
何故なら小旅行にも似て、「病院」だの「検査」だの、
なんぞ怖いことが起こったらどうしようという
物憂いマイナーなイメージを
何となく良い方に転換させることができるから。
いつもであれば元気に寄り道などして出掛けるものを、
今日は起きるのもやっと、遅刻しないように頑張らねば。
何しろ片道2時間半は掛かる、「遠出」になるのだから。
人間ドックの場所は数あれど、脳ドックは限られている。
途中、関西一のターミナル駅ビルでランチ。
私鉄、地下鉄、JR、バスと乗り継いで見知らぬ土地の見知らぬ病院へ。
通常午前中が混み合う病院での人間ドックは、午後は空いている。
思いのほか検査は早く済んだが、まさか認知症のテストまで
別室の小部屋で行われるとは思わなかった。
小綺麗な検診センター、女医の丁寧な説明、
年齢よりも脳の動脈硬化が進んでいたMRIにはちょっとショック。
そうか、そういう年齢だもんね。
まあ、結果的にその心配なかったけれど、
やっぱりそうかという気持ち、無きにしもあらず。
老母も早いこと呆けたし、遺伝かな。
それにしても、ストレスが減ると心電図は正常に戻っていて、
さすがと思った。これで出勤するとまた駄目なんだろう。
明るく強い夏の日差し、こんな日に職場に居ない私。
何とも言えず、解放感に満ちた寂しいような嬉しいような気分。
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初めて訪れる土地と病院の物珍しさも手伝い、
ハイになって髪を切って、単なる白髪隠しではなく、
全体に明るく赤くヘアマニキュアを。ちょっとした冒険。
ハッピータイムのイタリアンな居酒屋。
都会では見られない、かつては有名なデパートでの買物。
外食、買物、大散財して帰宅。
小市民的な解放感の味わい方かな。
仕事用のヘアスタイルから離れ、出掛ける当てもないのに
お洒落なアクセサリー、カジュアルな旅行用のバッグ、
鳥獣戯画の手書きの模様も洒落た麻のシャツ、
靴下だのを買い求めて、明るい昼下がりから宵闇まで彷徨い歩く。
この自由、いつもなら残業しているはずの時間帯を、
自分のためだけに使う自由な時間、この清々しさ。
充実しているような、空虚な、糸の切れた凧のような、
身も心も軽い、明日の予定に縛られない自分。
予定がない、時間割がない、その空虚な時間を始める長月。
その見通しも先行きもわからない長月を迎える前夜。
私は買物の紙袋を抱えながら歩く。
贅沢で、舞い上がった気分。
私は久し振りに散財らしい散財をする。
着ても無難な職場用の服ではなく、着たい服を。
安物の汚れても気にしない普段用ではない、上質の服を。
散財という名のささやかな自由を。
普段余りしないこと、できなかったことをしてみる、
ほんの少し、してみたことを噛み締める時間。
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