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病とコミュニケーション

初めて市民医学講座なるものに出席、講義を聞いた。
先月末まで、こういうものがあるとは、ついぞ知らなかった。
人は新聞記事でも何でも、関心があるものしか目に入らない。
きっと、今までお知らせがあっても気が付かなかったのだろう。
今回気が付いたのは、家人の入院中に、ある意味これが、
一番悩んだテーマだったからに他ならない。
望むにしろ望まないしろ、家人の病気と大学病院入院中に
否が応でも、色々経験せざるを得なかったからだ。
(ちなみに入院したのは、ここではない)


残念ながら仕事の関係で最初から聞けなかった。
途中からのメモしかないが、とりあえず、参考までに。
いずれインターネット配信で誰でも見る事ができるようなシステムなので、
(昨日の今日なので、まだ今回の分は見られないけれど)
興味のある方はこちら市民医学講座へ。
あくまで走り書き。誤字脱字、誤表記は平に御容赦のほどを。

市民医学講座 −現代人と病気―第109回 病とコミュニケーション
講師 津村 圭 助教授(医学研究科 卒後医学教育学)
H19 1/17(水)18:10〜20:00
途中からしか聴講できなかったが、話の流れは
病とは何かという大まかな説明 社会構成主義的な解釈による病の捉え方
ナラティブセラピーの説明。その技法を用いた医者・患者関係の構築への一考察
関係性を構築する上での技法とその説明
だったと受け止めている。以下、一応出てきた用語中心にメモ、覚書

困ったときに役立つ医療面接法ガイド―困難な医師‐患者関係に対処するコツ

困ったときに役立つ医療面接法ガイド―困難な医師‐患者関係に対処するコツ

  • 作者: Frederic W. Platt,Geoffrey H. Gordon,津田司
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  • 発売日: 2001/12
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患者白書―よりよい患者・医療者関係をめざして

患者白書―よりよい患者・医療者関係をめざして

身体性表現障害 その例示 身体的苦痛と精神的苦痛の内容の比較 
ex)胃がん告知後の状況 予想先取りの不安の方が大きい 
医療従事者はその部分をケア
患者の受診実態の表(Whiteらの論文から)引用 説明 対象聖人1000人
どれくらいの人が疾病を持つか。
受診者は「病気」の大半は健康問題→プライマリーケア・開業医の範囲内


スーザン・ソンタグの名著『隠喩としての病い』(みすず書房)引用して例示・説明 
「病気とは人生の夜の側面で、迷惑なものではあるけれど、
 市民たる者の義務のひとつである」(との冒頭を出してきたのはお約束といった感じ)
→仰々しくも隠喩に飾り立てられた病気が二つ 結核と癌
→「エイズと隠喩」隠喩と神話は人を殺す。癌はひとつの病気に過ぎない。
 呪いでも、罰でも、当惑すべきことでもない、意味もない。


「病」は気からではなく現実の世界 言葉(の持っているパワー)が現実を作る。
社会構成主義が現代のカウンセリングに与えた影響は大きい
→言葉による世界の捉え方
本質主義→既に決まった客観的世界があり、言葉はこれを表現しているに過ぎない
社会構成主義→世界を分節化する。言葉は発せられた時、世界が出現する。
言葉が先にあって、その言葉が指し示す世界が経験される。故に言葉が非常に重要。
言葉を使って世界を変える。現実の改変
−病が好ましいものでなければ、言葉を使って現実を変えよう→どのようにして?


ナラティブ{世界は「語り」(語るという行為)と物語(語られたもの)から構成。
(語り+物語)}という方法・・・現代の白魔術に匹敵する力
(逆に呪い、祟りは黒魔術に匹敵する人の心を蝕む言葉の力)
→ナラティブ・アプローチ(カウンセリングの一種)
答はCL(あなた)が持っている。


言葉に含まれる権力を排除する。(参:フーコーの立場)
問題の因果関係を探求しない。技法→傾聴とゼロ・ポジション
因果関係を求めるとはどういうことか? 
(参 達磨の話 「公案」→「如何なるか 是れ 祖師 西来の意」「庭前の柏樹子」)

ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語りと対話

ナラティブ・ベイスト・メディスン―臨床における物語りと対話

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ナラティブの世界では「何故」と言われても、わからない不条理を扱う。
→原因を求めない、まとめて捉える、わかったと思ってもわからない部分。
人は自分の物語の構築が上手くいかない時、「病」陥る。
CO(医療従事者)は、「物語の書き換え」に付き添い援助する=治療
 語り手と聞き手の良好な関係が必要
 あらかじめ決定された正しい方向(答)とはないというスタンスで向き合う。
 (従来のカウンセリングとの相違点 正解を設定しない)


・治療現場では、「解釈(説明)モデル」の相違点を克服する必要。
 例えば難解な禅話の公案を会得する秘訣→自分が今まで理解していた気持ちを、
 治療者の言葉に従って改めていくこと。
・「解釈」モデルの交流・・・医師は専門的立場で解説する。患者は自分の考えを述べる。
 相違点はコミュニケーションの良好な関係性の中で「交渉」 要はすりあわせ。


解釈モデルを知らないと、不幸なことが沢山起こる。
「わかる」とは? △→□→○ というように、全体として捉える。
個別に見て意味がわからなくても、全体として捉えればわかる。
ナラティブ・アプローチはどうか? 悲惨な病をナラティブを用いて変化させる。


異なるナラティブ・アプローチ
1 Dominant storyからalternative storyへ問題の外在化とユニークな発見を用いた
  別の物語への書き換えを行う。(昔の家族療法が正しい形を導いていたのとは違う)
2 問題を「解決」せずに「解消」する。「無知の姿勢」による。
  因果関係(意味)を求める姿勢が問題を生む。
3 reflective・team 視点の変更


問題の外在化「こんな病にかかるなんて、なんて不幸」「何が不幸にしているのか」
      「しかし、この病気によって家庭が一つにまとまった」(ユニークな結末) 
      「人は必ず死ななければならないが、必ずしも不幸ではない」
                           alternative story 
無知の姿勢 「どうしてこうなってしまったのか」「もっと聞かせてください(傾聴)」
       聞いてもらううちに自分の答を見つけてくる。
      「娘が一人居ますが、本当に良くしてくれています。
       私は結構幸せかもしれないと思うようになりました。」
リフレクティング・チーム 過程の客観視・入れ替え


家庭でできるnarrative approachの姿勢、無知の姿勢 
アドバイスを求める会話は少ない。人は自分の中に答を持っている。
コミュニケーション確立の技法で聞く・・・かかわり行動 基本姿勢
「受容されている」「尊重されている」と感じられるための行動=傾聴
身だしなみ・姿勢・位置・身体言語・頷き・腕組み・視線(目を見て話す)」
言葉遣い・声の調子・言語的追跡(聞いていることを伝える態度)


傾聴とは・・・聞き流すのではなく相手が自由に自分を表現するような
       言語的・非言語的メッセージを伝えること。
       話を遮らず肯定的要因を持ち耳を傾ける。
ゼロ・ポジション(コーチングの考えから)先入観を持たない
                    自分の思考を抑える
                    遮らない
                    話の流れの中で発展的に聞いていく。


cf)医療面接のテストの中には採点項目に「遮らない」が入っている。
否定的な接続詞を使わない。沈黙を恐れない。自分が中心の話し方にならない。
傾聴技法は沈黙・頷き・相槌・促し・繰り返し・明確化・言い換え
支持と共感・・・苦しんでいる人を少しでも楽にしてあげようとする気持ち
        相手の気持ちと一体化し、自他未分化の一体感が生じる


まとめ いわゆる「病気」とは何かを考える。
    基本的コミュニケーションの技法を知る
    「病」と付き合うためのアプローチ
    日常への応用。
    グリーフ・ケア   

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大雑把に拾ったけれど、盛り沢山でしょ?

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