Festina Lente2

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家族の食卓

大急ぎで帰宅。娘と家人はいつもの様に「笑点」を見ている。
食事の用意に取り掛かる傍らで、洗濯物をたたみ始める家人。
そう、丸一日の研修を終えてかーちゃん、特急晩御飯。
合挽きミンチと西瓜1/4カット、きのこ、トマト、パン粉。


電話で玉葱みじん切りは頼んでおいた。
うーん、これってみじん切りではなくて荒みじん。
ま、いいか。娘と久しぶりにコネコネ。
荒挽き胡椒に天塩、オールスパイスに、ほんの少しお酒。
卵にちょっとだけミルク、全部合わせてコネコネ。
それから、真ん中をへこませて形作る。
もちろん、娘は自分ように小さな形に。
家人が独りで小腹が空いた時に食べられるよう、
3個は冷凍しておく。次の非常用惣菜OK。


久々に、娘のリクエストのハンバーグ。
焼色が付いたら、出てきた油と肉汁をスプーンで掛け直す。
付け合せは軽く茹でた青梗菜と新鮮トマト。
それからエリンギとナスを肉汁で軽く炒めてハーブ塩。
千本菜と絹ごし豆腐、椎茸のお澄まし。
口直しの漬物はいぶりがっこ。昨日の鯛の子。
もちろんデザートは初物、糖度13.6の西瓜。

まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ~食品編~ (大空ポケット文庫)

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テーブルセッティングを、しっかり覚えて欲しい。
上げ膳据え膳の時代は、もう過ぎた。
父と母の間で食べる食事だとしても、
盛り付けや惣菜に合わせた皿を選べるように、
そろそろ仕込んでいかねばならない。
一緒にするから覚えられること。
限られた時間だから伝えたいこと。


脂っこい主菜にあっさり味の副菜。
こってり味の主菜に、さっぱり味の汁物。
後口爽やかなデザート。蒸し暑さを吹き飛ばす涼味。
自然に食欲が出るような、ありきたりだけれど、
飽きの来ないメニューの数々。
ちょっとした調味料。


そう、私が開けたいのは家族の食卓を満たす
心のこもった料理の鍋のふた。
フライパンでじゅうじゅう、お鍋でコトコト、
心が明るく跳ねているような、
生きていることが楽しくなるような、
ゆっくりくつろぐことが、一日の締めくくりであるような
そんな家族の食卓を豊かにする料理の鍋のふた。


心の暗闇など覗かない。見ても見ない振りができるように、
人生はスパイス、塩コショウでピリ辛
どうせ砂糖でくるむことなどできないものなら、
酸いも甘いも噛み分ける、味覚豊かな食と心を。
鍋の底なら磨けば光る。心はなじょして磨こうか?
私が開けたいのは鍋のふた。目と鼻と心に沁みる、
滋養のある食べ物を焼き、煮込み、調理する鍋の、ふた。


人はパンのみに生くるにあらず、
そう、美味しいスープも必要。
私が残したいのは母の味、私が引き継ぎたいのは母の味、
母のぬくもり、親の眼差し、家族の思い出、家族の食卓。
毎日一緒に過ごすことができない、だからこその食卓。
1週間の充電が、この日この時この夕べ。
夏至も間近の日長の夕べ。
鍋のふた取る夕餉のひと時。


娘よ、糧が君の血となり肉となり、
親から受け継ぐ何がしかの足しになって
君をずっと守ってくれますように。
食卓の湯気も香りも味も食感も。その記憶の底で
いつもいつの時も、温もりとなりますように。

地球の食卓―世界24か国の家族のごはん

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野菜だけ?―目からウロコの野菜まるごと料理術 野菜料理大図鑑

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