Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

サウスバウンドとコナンスペシャル

家人が招待券を貰っていたので観にいった「サウスバウンド」
私はそんな映画があることさえ知らずに、前々日本屋で
「いつまでもデブと思うなよ」と立ち読みしていたのだが、
娘によると、同じ棚に並べてあったらしい。
恐るべし、娘の記憶力。かーちゃんは、目的のものしか見てなかった。


で、娘の方が先に題名を知っていた「サウスバウンド」
したがって原作は知らない。全く読んでいない。
どういう意味があって、家人の会社にこの招待券が回ってきたのか、
皆目見当が付かない。だって、家人から映画の招待券を貰ったのは
長い付き合いの中で初めてではないだろうか。
とにもかくにも、この全共闘世代の名残なのか何なのか
ハチャメチャな両親とその家族の物語を、
小学校2年生の娘を挟んで観にいった私たちも、
何だかどこかで似ている様な感が無いでもなかったが・・・。
ま、券がなければ自分から観に行かなかっただろう映画。


娘にも受けていたから、面白い場面場面はあったのは確か。
でも、心の奥に深く刻まれた何かが残ったかというと、
そういうものはない。大人のファンタジーとでいった所か。
東京ではなく、西表島という環境がなければ完成しなかった映画。
(ロケ地はまた別の島)


何か、そこに引っかかっている自分。
結局は脱出、逃げ、明るい逃避、都会から遠く離れた所で、
普通では無理な次元で、展開するどころか、拡散する物語。
それが家族愛と夫婦愛の側面を持つ物語だと解説されているのを、
何だかやりきれない思いで見ている自分。
あり得ない、あり得ない、こんな大人のファンタジー


夕食後の見た名探偵コナンスペシャル「瞳の中の暗殺者」の方が
はるかにリアリティがあって、犯人が犯行に及ぶ背景なぞ、
チーム・バチスタの栄光」のワンシーンを連想させるくらい。
ああ、娘と同次元でアニメ映画に見入っている私って。
いや、娘に「面白いけれど、何が言いたいのかよくわからない映画」と
評される「サウスバウンド」こそ、変なのだ・・・。

サウス・バウンド

サウス・バウンド


子役と動物には勝てない。これは映画の鉄則だ。
だから、子役を沢山使って、いじめや友情、思春期前期の描写、
祖母と両親の間を揺れる子供、兄として妹を心配する姿、
友達と結託して不良を倒すシーン、母を侮辱されて憤る息子、
そういう散りばめられた小さな物語に、引き寄せられて、
前半の時間が過ぎる。


後は、南国の景色が後押ししてくれる。かつての英雄伝説と、
ステレオタイプな沖縄のヤマトンチュに対する思い、
ウタキ・先祖伝来の土地を守る構図、
資本家対プロレタリアみたいな漫画ちっくな構図が
どうにもこうにも違和感があって、見辛くてたまらない。
肝心の台詞は大人が言わず、子供に言わせている。
そして、非現実的な展開で終わるラストを、
ただ楽しく見ていられるほど、能天気にはなれない。
現実に小学生の母親であるだけに。


少年探偵団がかわいいアニメと、医師の世界の人間関係、医療問題、
警察官同士の確執、ルポライターの怪しげな行動、親子の葛藤、
自責の念からの記憶喪失、お約束のコナンと蘭ねえちゃんの絡み。
7年前の作品でも、断然面白い。TV放映では2回目らしいが、
映画館で見たら、もっと迫力があるだろう。
「サウスバウンド」はTV画面に収まった時、
映画と同様程度に面白さを感じられるだろうか?


非現実的な面白さを持つ(はずの)実写版映画と
現実的なリアリティ(社会問題・友情・恋愛等)を持つアニメ。
同時に見て、どちらに軍配を上げるだろうか、皆様は。
何れにせよ、同じストーリーで今回の役者でなければ
創り上げることはできなかったんだろうな、とは思うものの、
強烈な個性を感じることができなかった。


何か、私にとっては抑制のきいたそれで居て突拍子もない妻と
正しく鋭いのかもしれないが、どこかしら、たがが外れている夫、
そういう役どころとでも言うべきなのか、奇妙なレトリックが、
風穴を開けるトリックスターの本領だよといわんばかりの
行動を取り続けることが、鼻に付いた映画だった。


アニメでお口直しならぬ、お目直ししている私って・・・。

劇場版 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者 [DVD]

劇場版 名探偵コナン 瞳の中の暗殺者 [DVD]