Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

万博公園梅祭り

仕事に追われている。なのに体調は今ひとつ穏やかならず。
昨日、ちりとてちん収録セット公開に出かけたはいいが、
せっせと雑務をこなして、午後。息抜きにと近場の公園へ。
ありがたい事に家人宅からは車でちょいと行ける距離。
本日は万博公園梅祭りなのだ。
ガレージセールなどの催しもあって人出は多かったようだが、
午後のおやつ時に出かけたので、空いている。
まずは、公園内の梅園へ足を向けた。
なるほど、殆どの梅の花が満開。


梅は好きだが樹の種類まではわからない。
家に(似た樹の)有る無しの別ぐらい。
幾つか名前を知っていても、すぐにそれとはわからないが、
梅園の樹には、1本1本名札が掛けられていてありがたい。
夕暮れ間近、思ったより人も少なくのんびりと梅見の散歩。
娘は何故か、隣の林でどんぐり拾いに夢中。
梅園に走ってきてどんぐりを撒き散らしては、
「来年はここにもどんぐりが生える」とご満悦。やれやれ

 

自然文化園の梅園、88品種、約570本。
新種は、錦光・明星・筋入国光・浜千鳥・黒田・黒雲・
八重傘枝垂等だそう。梅とは思えぬ面白い名前が多い。
かわいい小川も流れていて、水車茶屋で一服もできる。
万博シンボルマークと太陽の塔模様の火鉢も出ていて、
初めて間近に見る昔の暖房器具に、興味津々の娘。

 

日本庭園の方はまだ殆ど咲いておらず、寂しいくらい。
こちらの新品種は八重松島・鄙の都・関守の3種。
他にも見どころは芳流閣・南高・見驚・楊貴妃・淋子梅。
これから身頃になるので、是非是非。
それでは、梅を愛でましょうか。

 

 

 


今朝の読売新聞の短歌の『四季』欄より(長谷川 櫂)より引用

ー春風になって憂いに沈む人を訪ねて慰めたい。
 古典文学で「うれひ」いえば恋の悩み。ところが、
 近代になると青春の憂愁を表す言葉に生まれ変わる。
 明治時代はこの国の何度目かの青春だった。
 その明治を青年として生きた人の歌。―

願はくはわれ春風に身をなして憂ある人の門をとはゞや
                 佐々木信綱  
 

−−−−−−−−−−−−−

佐々木信綱の『思草』(明治36)に載っている歌。
当時彼は31歳。確かに多感な青年期と明治時代が重なっている。
維新の激動後に生まれ、世の中の変化と共に生きた歌人
さぞ恋の憂いも、その他の諸々の悩みもあったことだろう。
憂いの意味は変遷したが、梅を愛で香を楽しむ心は
明治も今も変わらない。


携帯で気軽に写真を撮る若い男女、
三脚を立てて梅を背景に彼女の姿を写す者、
梅を眺めつつそぞろ歩く異国の若者、
年老いた夫婦、のんびりと一人、
誰もが梅を愛でつつ思い思いに時を過ごす。


まだまだ冷たさの残る春風の中、梅の香を楽しみ、
大切な人と二度と巡り来ぬ時を過ごす。
笑っている花の蕾のような娘を見ながら、
将来どんな花を咲かせるのだろうかと思いを馳せる。

白加賀・白鷹・柳川枝垂・月影・緑萼それとも、
紅千鳥・八重寒紅、白いか赤いか一重か八重か。
早咲き遅咲き、薫り高いか艶やかか。
いずれを春と匂い立ち、咲き誇るのか。
家族のルーツ、徳島で幾度となく訪ねた梅林、
阿南は明谷梅林をベビーカーで巡り歩いた日々を思う。


自然の用意する景色の後ろには、
自分がその季節の中にいた昔、今、そして
あらまほしき未来を期待しながら思い描く。
梅を愛でつつ、思い出に浸る。
少しばかり憂い深き、本日のかーちゃんです。