Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

楽しさを共有出来る時期

朝娘を起こしに行くと、「おかーさん、一緒に布団入ってぇー」
こんなふうに甘えたの駄々っ子に変身していることが、よくある。
特に寒くなってくると、「一緒にお布団に入ろう」が増える。
まあ、こんなことを子供に言ってもらっている内が、「花」ですが。
人肌恋しい季節とはいえ、もう二人でお布団に入るには、
娘は平均よりもすくすく大きくなり過ぎた、小学校3年生。
4年生に間違えられるくらい大きい。
だから、いっちょ前に大人の大きさの布団で寝ている。
なのに、「おかあさん、お布団の中あったかいよ、ちょっとおいで」


仕事モードに切り替わろうとしている私に、里心付かせるような、
「悪魔の誘惑」(笑)にも似た「一緒にお布団」のお誘い。
とうとう根負けして、ちょっとだけね。
娘はほんのしばらく抱きついた後で、満足したのかようよう起きる気に。
毎朝こんなことはしないけれど、きっと何かあったんだろうな。
寂しいことや叱られたこと、落ち込んだこと等など、色々。


でも、時々疲れて帰宅し、朝もなかなか起きられない私を労りがてら、
「一緒に寝よう」「お布団に入っておいで」のお誘いをかけてくれるのかも。
食事中、「お母さんのストレートヘア」ってどんな感じかなあ。
いきなり、かーちゃんの頭をなでなでしに来たりする。
ど直毛の私は扱い易いように就職後パーマをかけた。
学生時代の私、『恋人よ』の五輪真弓風のストレートヘアスタイル。
仕事に差しさわりがあるかとばっさり切り落とした。
ショートヘアというのは、意外に扱いにくい。
癖でもないと束ねられないし、さらさらヘアははねると目立つ。


パーマをかけて扱い易くし、手櫛でもOKのずぼらヘアにして幾星霜。
仕事にはいいが、昔のロングヘアを懐かしく思わないではない。
で、娘の髪は長く長く伸ばしている。幸いほんの少し癖があり、
まとめるのも編むのも楽なロングヘアだ。
この髪を編んでやる朝のひと時、ささやかながら親らしいことをしている時間。
もう、自分で束ねるぐらいは出来る年齢だけれど、
まだ、髪を触らせてくれる。
本当は、もうそろそろ自分でいじりたいのでは?


朝のひと時、娘に追いつかれて来ている自分を感じる。
髪を結うにも、キッチンの椅子の高さでは結いにくくなってきた。
背も高くなり、一日ごとに少女を、娘らしさを感じさせる。
やることなすこと、まだまだお子様めいているけれど、
ふとしたはずみに、娘の成長と同時に自分の老いを感じる。
まとめにくかった髪も片手で余るほど、毛が痩せて来た自分と、
ふさふさとした娘の髪を比べたりもして。

恋人よ

恋人よ

「脳力」をのばす!快適睡眠術 (PHP新書)

「脳力」をのばす!快適睡眠術 (PHP新書)



そんな娘が、木曜日楽しみにしているのは、あの筒井康隆の名作、
『七瀬ふたたび』・・・リアルタイムで読んて、観た人間には、
リメイクされると聞いた時の気持ちは今一つだったが、
実際に観てみると面白い。・・・というか、私の世代には懐かしい、
少年ドラマシリーズ」を髣髴とさせる造りだから。
あのシリーズの最初を飾ったのも、筒井康隆の『時をかける少女』だった。


私もあの作品に熱中し、家庭にビデオなぞない時代のこと、
再放送をオープンリールのテープに録音し、音だけを楽しんだ。
余りの人気にNHK側は『続・時をかける少女』も作ったが、
これはちょいと駄作だった。まあ、それでも健闘したSF作品だった。
それからかなりしばらくして作られたSFドラマ、
原作の人気にあやかって作られた『11人いる!』は
往年の萩尾望都ファンを怒らせ、NHKにはかつての、
少年ドラマシリーズ』を作った頃の制作力は失ったと実感させた、
その苦い経緯があっただけに、今回は期待していなかった。


ドラマ力が上がったは思えない。登場人物も原作とはかなり変わっている。
でも、主人公の愛らしさ・切なさが、ドラマの緊迫感を盛り上げている。
六番目の小夜子』ほどの影響力が持てるかどうか、
それはさておき、同じ恩田陸の作品、「常世物語シリーズ」を
レベルダウンさせた雰囲気よりも、許せる感じ。
ドラマの面白さは、ドラマを見慣れた大人もこれから観客となる子供も、
両方を惹きつける魅力があるかどうかということ。


ジュブナイルとしての魅力がある原作も、下手な映像化でレベルダウン。
大阪弁で言うところの「わや」になってしまうものが少なくない。
娘が楽しみにしているものでも、親としてお付き合いするのは苦しいものがある。
年の差が離れているだけに、ご遠慮したいものが横行する世の中。
それだけに、ある意味娘が図書館から『七瀬ふたたび』を借りてきて、
原作を読んだり、更に、『家族八景』を予約・借り出して来たことが嬉しい。
もっとも、この七瀬シリーズの最終作『エディプスの恋人』を読むのは、
もう少し先にして欲しいものだが・・・。

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

子供子供している、自分の娘だからと思っているのに、
子供は子供らしく着実に成長している。
私が幼い頃やってみたことをなぞるように、また、
全く知らなかった世界を親に示すが如く、
日々、娘は自分の世界を広げていく。
親が『時をかける少女』前後、小学生の中ごろからのめりこんだ、
ジュブナイルの世界。


少しずつ少しずつ追いつかれて来ているのが嬉しくて、
読書の楽しさ・話題を共有できるを、原作とTVドラマの違いを語り合える、
こんな時間が持てる様になってきたのは楽しい。
親が子供の目線まで降りていくのではなくて、
子供が成長して、ぐっとこちらに近付いてくる迫力に驚かされる。
共有できる楽しさ、楽しみを共有できる時間短い。
一緒に布団に入ろうと誘いに来る今の時期と同じ、
やがて私を追い抜き、ずっと先に、親の知らない、
全く異なる世界に走り去っていくだろうから。


だからこそ、まだまだ幼年期の親子一体感が残っていて、
それでいて、親から遠ざかるための助走を始めている、
そんな娘の存在を感じることができる今日が、
うれしゅうてやがて哀しき・・・秋の一日。

11人いる! 萩尾望都Perfect Selection 3 (フラワーコミックススペシャル)

11人いる! 萩尾望都Perfect Selection 3 (フラワーコミックススペシャル)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)