Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

所詮、フェイク

先輩が北海道旅行をしてきたという。
おまけにあの有名な動物園に行って来たという。
何でこの季節に北海道? 去年も北海道行ってたよね。
1週間も旅行、いいなあ・・・。
お土産クッキーだけ貰った。
でもって、先輩曰く。「旅行先で耳が聞こえなくなったのよ」
ええ? 何ですと? 昨日私の匂いの消えた話をした途端、
先輩は音ですと? 「そう、耳に穴が開いているっていうのよ」
それは、穏やかならぬ状況では。


北海道旅行中耳が痛くなったのだそう。耳垂れが出たとか。
ええ? 耳垂れ? そういう経験が無い私はおののく。
「時々そんな事があって、今まで医者にも掛かっていたけれど、
大阪では何にも言われた事が無いのよ。耳をきれいにしておきましょう、
ぐらいで」ふうん、そういう問題なのかなあ。
「でも、あんまり変だし聞こえないから、ホテルの近くの耳鼻科に行ったの。
そしたら耳に穴が開いているっていうのよ、鼓膜に大きな穴が」
ええ? 何ですと? 耳に穴? 鼓膜に穴?


「このまま北海道にいるのなら治療するけれど、明日大阪に帰るのなら
向こうで治療するしか無いけれど、こんな大きな穴すぐに開くわけではない。
今までどうして放置してきたんだって言われたのよ」
放置? 鼓膜にあいた大きな穴を放置とは、ますます穏やかならぬ。
「大阪でもずっと耳の調子が悪い時に何度も通ったのに、
一度も耳に穴が開いているなんて言われたこと無いのよ。
鼓膜の状態なんて説明して貰ったこと無いのよ」
先輩、そのお医者さんもなかなかの・・・もんですなあ。


「そうよ、ひどいでしょ。ばい菌が入って耳垂れだとばかり思っていたのに、
穴が開いているなんて、とんでもないわ。
それで、別の耳鼻科に行って北海道で言われた事を伝えたら、
即手術が必要ですだって・・・どうしたらいいの」
どうしたらもこうしたらも手術、ですか。いや、もう、選択肢なんぞ。
ああ、想像するだに痛い。
それにしても、匂いの話題の次にこれかあ・・・。


フェイク、フェイクな診察だよね。穴の開いた鼓膜をほうっておいたまま、
患者には詳しい説明しないで悪化させて、通院だけ続けさせて。
偽もんじゃん。・・・フェイクと言えば・・・。

患者力

患者力


昨日娘を迎えに行くまでに、通院後の時間を過ごした映画館。
『フェイクシティ―ある男のルール』で元気に動き回る、
少々切れてますぜ系の刑事を演じていたキアヌ・リーブス
無精ひげを生やしたり、飲んだくれていたり、いいねえ。
地球が静止する日』の無色透明みたいな宇宙人よりも、
ずっと人間味があっていいわ。


それにしても警察って結局、こういうもの?
捜査ってこんなふうに身内を庇うもの?
上司って仲間ってこんなふうにつるむもの?
内部調査って結局は誰かを利用しながら、ゴミ処理。
流される情報も、残された証拠も、何処から何処までが本物?
一体何を信じればいいのか? 真実って何?


フェイクねえ。フェイクシティ。別に町だけじゃなくて、
色んな所で利害関係が絡んで、疑惑・殺人のオンパレード。
さすが銃社会アメリカのちゃんばらごっこならぬ銃撃戦。
殺伐とした正義感が巻き起こす代理戦争を見ている分には、
この乗りだと納得して、アドレナリン分泌OK。
それにしても善人ばかりやられていく。
悪ははびこるの構図、この単純な対照の構図。
ただの勧善懲悪に持っていかず、引っ張る引っ張る。


私は毎日ちゃんばらをやっているわけでもなんでもないけれど、
匂いのわからないまま生活。きっとこれに狎れてしまえば、
匂いの無い生活に押し流されて行けば、ある意味フェイクな生活。
感覚的な喜びを奪われたままの生活、嫌だけれど仕方の無い、
諦めの境地に近い、今の気持ち。
治りますよ、ではなくて、治るかどうかわからないから。


リーダーシップを発揮する事が要求される管理職。
その下でやる気を見せるべきなのか、見せた結果、
手足の如くに使い回されるのか、それともやりたい事がやれるのか、
体を張った挙句、トンビにあぶらげさらわれる様に、
業績とやらは、いつの間にかどこかに横取りされていく組織。
個人の在り方など、組織の中では吹けば飛ぶよな存在。


何だかなあ、一生懸命やっても書類上「報告書」だの、
偽造文書までは行かなくても作文で塗り固められて、
それが全てになってしまうような、締め付け・尻拭い。
計画的に結果を求めて都合よく作られるデータ。
都合の悪いデータは伏せて作成される書類。
つじつまを合わせておけばそれで結果オーライの見切り発車。


強引さが独りよがりなカリスマ性だったり、
何らかのバックを引きつれての脅し・威嚇だったり。
単に個性や悪の強い人間が前面にやたら出たがりで、
権力の座に着いたら好きなことができる。
マスコミさえ抱き込んでいれば、強硬手段で弱者や
反対意見をねじ込んで抑えて叩き潰しても、
大鉈を振るった英断、何て見出しをつけてもらえる。


フェイクシティは映画の中だけじゃないなあ。
ささやかな日常生活の中で、ちりと積もれば山となる式に
そんじょそこらに転がっているじゃん・・・。
先輩との会話から、日々の業務内容を振り返り、
上司を思い出し、殺伐とした気分で映画を思い出した。
キアヌ・リーブス演じる主人公は、自分が良かれと思ってやった事が
単なるコマに使われていただけで、巨大な悪の一部分でしかない自分、
それを潰そうとして、更に別の勢力の一部分でしか無い自分。
そういうジレンマを、ラストでさらりと描いた。


映画はそこで終わるからいいよねえ。終われるから。
現実のフェイクシティは毎日続くもの。
フェイク・・・。偽物、まがいもの。
その意識、やるせない思い、達成感に繋がらないやりきれなさ。
そういう物が付いてまわる、余計に目立つ年度末。

リーダーシップの旅  見えないものを見る (光文社新書)

リーダーシップの旅 見えないものを見る (光文社新書)

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ