Festina Lente2

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パンは何故膨らむか

本日今月3度目のお料理教室。
2月は何故か応募したお料理教室に全部当選。
寒い季節、外遊びもなんだしと、ずぼらなかーちゃんのお出かけ計画、
3週続くと新鮮味も薄れてきました、お料理教室。
気を取り直して出かけてみれば、主催者側が主催者側、
場所も場所という事があって、少々参加費はお高い。
おまけに「料理から学ぶ科学教室」ってという割には、高年齢な・・・。


それもそのはず、「パンは何故膨らむか」のお話は、
子供向けというより純然たる科学研究に絡めた話。
講師の先生は、純然たる大学の先生でした。
大人でも難しいかなあというアカデミックな内容。
会場には小学生の親子連れ半分、孫や子供と来た年配の方も。

 

 


主催者側の真意を測りかねるというか、
企画内容の羊頭狗肉とまでは行かなくとも、
対象年齢・対象者層・目的、少しばかりはてなと思わざるを得なかった私たち。
いや、私たちの感覚の方がずれていたのか。でも、子供の多さを思うと、
私たちと同じような期待をしてこの「料理から学ぶ科学教室」に来た親子、
多かったはず。大人も子供も満足させるわかり易いお話、ではなかった。
この話をするために、パン教室をする必要があったのか。
ならばもう少し対象年齢を絞って講義してほしかったと・・・。


パンは美味しかったし、教えてくれる先生、手伝ってくれるお姉さんは
とても優しかったけれど、欲張りすぎ盛り沢山の2時間半だったのかも。
生物選択生だった私は、化学Ⅱを履修していない文系だったので、
アデノシン三リン酸(ATP)を知っていても、亀の甲の化学式は苦手。
ましてや会場の半分近くは小学校低学年。
子供にはハードな科学教室兼料理教室だったというのが正直な感想。
先生はとっても穏やかに科学史から最先端の研究まで、
様々なスライドを元に、わかり易くお話しして下さったのだが。
いかんせん、そのレベルは中高生以上のものだった。

  


  


らんま先生を期待していたわけではない。
パフォーマンスはともかく、説明が易しければ良かったのだが、
大人向き、つまり私や夫には楽しかったけれど、
娘を始め子ども達には、???
「生き物というと何を思い浮かべますか?」という最初の振りに
犬と答えたまではいいけれど、その後に続く説明画像が、
こういう内容ですからね・・・。
でもって、酵母も我々人間も同じ真核生物でと持っていかれても。

 


8兆円の価値がある発酵産業市場。発酵の科学史
カニヤール・ド・ラトゥール、フリードリヒ・トラウゴット・キュツィング、
テオドール・シュワン、フリードリヒ・ウェラー、ユストゥス・リービヒ、
ルイ・パスツール・・・、パスツールしか知りません、かーちゃん。
講師の先生の話はどんどん続きます。アルコール発酵、パスツール効果、
自然発生の否定、低温殺菌法(パスツリゼーション)
狂犬病のワクチン、スワン・ネックのフラスコの実験・・・。


話は専門的になって、エドゥアルト・ブフナーのチマーゼ発見、
アーサー・ハーデンのノーベル化学賞、耐熱性のチマーゼ云々、
だんだん付いていけなくなって来た。何しろ、記憶の彼方の化学・生物。
解糖系、そういう言葉を知っていても、詳しい仕組みまでは・・・。
細胞外での発酵、10段階の発酵段階、インベルターゼ、転化糖、
有機物からエネルギーを得るプロセス、
酸化とは体の中では電子を引き抜く・引き抜かれることで・・・?

 


子ども達は、じっと座っているだけでも偉いと思った。
親のケータイでゲームをする子も。我が娘はすっかり猫背でぼーっと。
パンが発酵するまでの時間、お勉強の時間となったものの、
余りにも難しすぎる。やっぱりこの企画、無理がある。
対象年齢を明確に絞って募集すべきだったのでは・・・。
親の不安をよそに、先生は我々よりも上の年代に興味のあることも
どんどん説明。それはそれで嬉しいのだが・・・。


酵母・発酵の研究が何の役に立っているかというと、
人体実験が出来ない病気の解明、糖尿病や神経性疾患の研究ですと。
インスリン受容体・トランスロケーション、
エネルギー代謝とメタボリックストレス、シグナル伝達、
延々、専門用語が続く。他の親子はどうしているのか・・・!?
ついにMG、メチルグリオキサールと糖尿病が云々となってくると、
日常会話に無い単語、自分が習って来なかった単語、全く異質な世界に
入り込んで、難しくなり・・・。

 


 


先生の説明、MGは何チャラのエンドサイトーシスを上昇させる。
もはや用語が聞き取れない。MGはグルコース輸送体の活性を阻害。
MGはヒト由来のGLUT1の活性を阻害。
パンの発酵を学ぶのに、ここまで説明を受けなくてはならないのか?
空気が無いとアルコール発酵、酵母グルコースからエネルギーを作る過程で、
2酸化炭素を生成する以上の難しい事を?
親子連れの半数は小学生なんだってば・・・。


最後に、先生のスライドにこう出ました。
エネルギー変換細胞学分野 酵母研究グループ。・・・そうですか。
さすがの私も興味関心以上に、疲れました。
出来ればスライド、もっと高い位置に設定しないと、
席から全く見えない。黒板の無い調理教室でのスライド、
かなり限界が・・・。先生、御免ね。限界ですぅ。

                                                                                          
   

出来上がったパン、とってもおいしかった。
丸いパンが鋏で切れ目を三箇所入れただけで、こんなふうに。
カスタードクリームにオレンジをのっけると、売り物のよう。
パン作りって楽しいなあ・・・。
しかしこの気持ちも、難しすぎる講義で半減・・・。ふう。


娘はストレートな反応。「早く食べて早く帰ろう!」
そうだろうなあ・・・。今回はどう見ても・・・、ねえ。
喉が渇いた喉が渇いたとぶつぶつ言う娘。
小学生グループには、水筒持参の子も。うちもそうすべきだった。
楽しかったけれど、難しすぎた。
それにしてもパン作り、お料理教室と言っても色々あるなあ。


楽しいケーキやお菓子が作れるように、
また別の機会を持とうね。
下の写真のようなパンやお菓子が作れるように。

 

ホームベーカリーのパンとお菓子―何度もつくりたくなるおいしいレシピ (別冊エッセ)

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