Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ちょっと高松塚まで

先週の明日香の一日が尾を引いているかーちゃん。
ほんの少しでも余韻に浸りたい。
そこまで散歩すれば高松塚という耳寄り情報。
どういうことかって、それはデスね、
あの高松塚古墳のレプリカがあると先週教えて貰った。
何のことは無い、この大学の博物館に。


という訳で北に出張・滞在している強み。
午前中の宿題が14時半まで長引いた娘と気分転換、
家族でとことこ歩いて来てみれば、大学は凄い人出。
何があったのか、唖然。
しばらくして納得。今日はオープンキャンパスだった。
高校生でなくても親子連れ、家族連れなど様々。
私達も案内図を貰って、一路目指す大学博物館

  


市の指定を受けている大きな楠の側に、昔は図書館、
今は博物館になって大学の歴史と共に、
貴重な資料が展示されている古めかしい建物。
石器・土器・装身具・(複製)埴輪・(復元)甲冑等、
歴史的な遺物が並ぶカタツムリのような丸い建物、
その側に、高松塚古墳壁画のレプリカはあった。



この高松塚古墳壁画再現展示室は昨年3月に完成したばかり。
→道理でピカピカ真新しい訳だ。
ああ、この大発見は中学1年生の年。
考古学者になりたいと家庭訪問で担任に話して、
「女に考古学、穴掘りなんか出来るか」と言われ、
あっさり引き下がった根性無しだった私。


それでも、夢をかき立ててくれたこの発見。
文学部の万葉集を読むだけの行動力の無い文学少女
それだけで終わった青春だったけれど、
異国の風を孕んだ衣装を靡かせて、色鮮やかに蘇った
雅な飛鳥・白鳳時代の面影をどれほど偲んだことだろう。
長い間発掘のニュースを報じた新聞は、我が家の台所、
日々目にするドアに飾られていた。

図説日本の古墳・古代遺跡―決定版 (歴史群像シリーズ)

図説日本の古墳・古代遺跡―決定版 (歴史群像シリーズ)

  
高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦 (NHKブックス)

高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦 (NHKブックス)


かーちゃんの熱い思いを娘は知らないが、
先週の1泊2日のキッズサマーキャンプで貰った書類挟み、
そのファイルの模様が高松塚古墳の壁画だった。
興奮するかーちゃんをよそ目に、娘はキョトン。
非売品ファイルのその模様にどきどきするかーちゃん。
うん十年前の感激が蘇る。
私が高松塚まで訪れた時はすでに社会人。
これで本当に大丈夫なのだろうかという感じの、塚。
保存がこれでOKっていうのは本当? と感じていた。

     


文学少女の卵の娘、玄武・白虎・青龍を知る娘は
レプリカに朱雀が無いことに気づく。
そっちの壁から盗掘されたので、壊されて無いんだよ。
「ええー」がっかりした娘の声。
ふむ、まだ何がしかの興味はあるわけか。
この発見の意味も意義も難しかろうが、
本日の目的はこれを見せること。
先週歩いた明日香の地に、この古墳があったことを話しながら、
大学で遅めのランチタイム。

 

 
大学のオープンキャンパスは明日もあるらしい。
ざわめく夕方の小さな町のような中を、3人で歩く。
ふわふわ漂うように大きな図書館、広い坂道、
清掃の行き届いた構内、芝生、生協。
そうだ、娘よ。小学校・中学校・高校、その先に
こんな世界がある。君が受験に苦しむ頃には
どんな風になっているかわからないけれど。


高松塚が眠り続けた年月に比べれば、
君がかーちゃんとーちゃんと過ごす日々は短い。
私は自分の両親と大学を歩いたことなど、ただの一度も無かった。
君はいつかどこかへ羽ばたいて行くだろう。
その時に、オープンキャンパスという言葉もよくわからない時に、
かーちゃんとーちゃんと、高松塚古墳の壁画を見に行った、
本物じゃないけれど本物そっくりに作られた。
そんな夏休みの一日があったと覚えていてね。

国宝 高松塚古墳壁画

国宝 高松塚古墳壁画

白鳳時代と高松塚古墳―築造時の時代背景

白鳳時代と高松塚古墳―築造時の時代背景