Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

点字とカナダ先住民

小一時間を会場で過ごして、御目当ての国立民族学博物館へ向かう。
実は小4の国語の教科書に、点字のことが載っていた。光村図書、
かがやき<「伝え合う」ということ>の単元。大島健甫著「手と心で読む」。
(探したけれど、どうしても彼の著書が見つからない)


イムリーなことに、巷で点字の入った展覧会のチラシを入手。
万博公園民俗学博物館の「点・天・展」ぜひとも一緒に見よう!
残念ながら、企画展パンフレットはなく、
その代わりに、この本を購入。面白いのでお勧め!
娘も笑いながら読んでいた。失明という障害を乗り越えて、
前向きに学ぶ姿勢に結構感動し、娘なりに色々考えた様子。

さわる文化への招待―触覚でみる手学問のすすめ

さわる文化への招待―触覚でみる手学問のすすめ


今回の企画展示では、点字の発明者、ルイ・ブライユ生誕200年にちなんでだが、
その他、視覚支援について関連する内容を様々に展示。
偉人伝で馴染み深いヘレン・ケラーに関する展示も多く、
今更ながらに経済的に恵まれた環境にあった彼女は、
失礼かもしれないが、ある意味幸運な障がい者
当時としてはでき得る限りの教育の機会を与えら、
三重苦を乗り越えていった(むろん本人の努力に勝るものは無いが)
サリヴァン先生がいたからこそ・・・という思いを新たにした。


まだHPが残っていると思うので、こちらへ。(展示は終了)
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/tententen/
ヘレンケラーやその他の様々な機材の写真等、見られます。
本当にもっと早く知っていたら、体験学習できたのに。
私自身は本当に何も知らない。点字そのものについて、娘のように教科書で紹介、
触覚が開く世界、バリアフリーに関する授業、
そういうことが小学校から学べる世界があるということを、
娘によって改めて思い知らされた次第。
大学時代盲導犬を連れて、点字タイプを持参で勉強していた人を
見かけたことがあるくらい。


点字によって世界が開かれる、その本の実物は余りにも分厚く、
教育が大切と行っても、読むのも大変作るのも大変・・・。
触る文化・・・それが何を意味しているのか、
普段考えることの無いものに触れ、戸惑う。
なかなか自分の中で上手く消化できない。
多様な展示物を通じて点字の歴史を紹介し、“点字力”の今日的意義を考える
しかし、普段点字に接することがなく、道路や駅での表示さえも、
何気なく見過ごして生活している人間にとって、この問題提起は難しい。


柔らか頭の娘にとっては、点字のセットは気になったよう。
点訳者の仕事もいいね」という。パソコンが導入されて、
点訳も随分楽になったよう。録音・再生の音響機器も便利になっている。
視覚支援に関して新しい時代が広がっている。
しかし、支援する側にいる私達の意識は?
改めて問われる、点字の世界。触れる文化の世界の意味。

障害者の宗教民俗学 (明石ライブラリー)

障害者の宗教民俗学 (明石ライブラリー)


改めて問われる、と言えば「カナダ先住民」の文化について。
今回の展示に先駆けて、中1の時の思い出。
地理の教師だった担任に紹介された『カナダ・エスキモー』
本多勝一のシリーズを読むようになったのはそれから。
元々歴史が好きで、遺跡が好きで、そして民俗学的なものに曳かれ、
中・高で刺激を受けた、NHKの『未来への遺産』シリーズが始まり・・・。
自分の知的好奇心を刺激してくれた、懐かしいイメージ。
それが、半世紀近い時の流れの中で変化する。

  


エスキモーという言葉は、現在は使われない。
馴染み無い「イヌイット」という名称が一般的になりつつある。
そして、カナダの先住民の生活はすっかり変わってしまった。
狩猟の生活も、氷の家も、犬ぞりもどこかへ消えて・・・。
現代風の食生活で成人病や肥満が増え、民族の伝統や技術は・・・。
そう、カナダ先住民の民族を知ることは、20世紀から21世紀にかけて、
伝統というものがどんなふうん変化したか、
どのように文明化の影響を受けたか。


そう、かつて本で読んだ世界、夢中になったルポルタージュ、異文化、
発掘で掘り出される歴史の世界同様、探検・インタビュー等の取材で得られる、
いまだ見たこと聞いたことの無い世界、そういうものに憧れた日々。
思春期前期の子ども子どもした憧れに過ぎなくても、
胸ときめかせたきっかけになったあの本の世界。
それが、現在こうなのか・・・。
そんな思いで、様々な展示物・写真を見ることになった。

もっともっとゆっくり2階の展示を見てもよかったかな。
綾取りや文字、現在の工芸品。
そして、伝統的な紋様がどのようにデザインされているか、
その分析が映像化されて壁に映されている。
何度見ても見飽きない。たった4つの紋様が複雑に組み合わされ、
反転・重複・展開されて様々な図柄に変容。
決してかわいらしい側に置きたいというよりも、
宗教的な意味合いの強い不思議なイメージが多いのだが、
何故か心惹かれる。気になって仕方の無い動物中心のデザイン群。


さて、昔ながらの手遊びの好きな方。
これを見ただけで、同じ形が作れますか?


そして、私の愛すべき亀。トレードマークの亀。
『ウェルかめ』以前から、ゆっくりさんの私の亀。


まだまだ、開催中です。御時間のある方、御近くの方はどうぞ。
普段意識することの無い、カナダの先住民の世界に。