Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

豚皮のランプ作り

娘と肩を並べて歩く駅までの公孫樹並木。
今年は随分長く黄葉が持ったけれど、昨日の雨で結構葉が落ちた。
さすがに日当たりと風通しのいい道路沿いだけのことはある。
あ、まるで人が葉っぱの上にそっと置いたように銀杏が・・・。

  


うきうきしながら歩いているのは久しぶりに二人きりでクラフト教室。
本当は人権学習にちなんた企画らしいけれど、
自分の手でロマンチックなランプを作れるとあっては、胸が弾む。
去年は娘と二人で、無料手芸教室にてクリスマスツリーを刺繍。
(その時の記事はこちら→ひと針ずつ心をこめて
自分が娘に教えられないことは、専門家に教えを請うに限る。
親が人に教えられて新しいことを学ぶ姿を知って貰えば、
何時如何なる年齢になっても、知らないことわからないことに関して、
教えを請う事、学ぶことは楽しいのだと体験からわかってくれるはず。
ということで、本日はただのランプ作りではなくて、「豚皮のランプ」。

  


会場ではみんな興味津々、目の前に並べられた小物や数々の皮。
ランプ以外に、皮細工でこんなかわいい小物も作れますよと、
ランプにつけるアクセサリーのような役割をする昆虫
トンボやバッタ、象なども置かれていて、遊び心をくすぐる。
ここまで作れる時間があるかなあ・・・。
生来不器用な私は、料理は食い気で覚えたものの、
家事全般、縫い物など手芸は小中学生の家庭科の延長線。
例外は下手の横好き、編み物ぐらい。

  


皮細工初めての経験、もちろん道具も持っていない。
こういう講座では予め用意してもらえるし、
参加すると色んなことが経験できて、楽しい。
そして体験学習プラスα、それが今回の人権にまつわるお話。
というわけで、今日は皮細工のみならず、皮にまつわる様々な話題。
どうして人権問題? 例えば、皮を手に入れるまでの過程や、
皮革という言葉、皮・革・韋の違いから説明してもらった。
剥いで洗って乾かしたままの生皮が「皮」、なめして処理された皮が「革」、
刺繍など施したり様々な細工を施したものが「韋」なのだとか。


テーブルの上には様々な大きさや色の皮、革製品が置かれていた。
一見高そうな革製品に見えるものが、実は何匹ものウナギの皮。
白くてぺらぺらしている紙のような、猫や犬の皮。
あの三味線にされるという猫の皮は、何と乳房の痕まで残っていた。
最近は動物虐待だ何だと叩かれる皮革製品、
特に毛皮などはフェイクファーの世界。
日本人よりも欧米の方が圧倒的に獣を殺していると思うけれど。
鯨を食べる野蛮人だと思われている日本人、文化の違いは誤解の壁を作る。
同様に、皮にまつわる差別や人権の問題も、見え隠れする現代。


小学生が参加しているので、余り難しい話は無かったが、
現実問題旧被差別部落に皮革産業関連があること、
皮を扱うという仕事自体、蔑視されていたこと、
動物の肉や皮を扱う仕事がどのようにみなされていたか、
解説を受けているうちに、昔読んだ『カムイ外伝』を思い出した。
確かに農作業と動物の屠殺の場面は異なった扱いがされていた。

決定版カムイ伝全集 カムイ伝 外伝 全11巻セット

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さて、作業工程。予めランプの大きさにカットされた長方形の豚皮。
それから皮を綴じて成型するための皮ひも。
紐を通すための穴を開けるための道具。
金槌やゴムの台、目打ち、はさみ、ホッチキスなどなど。
説明を聞きながら作業に入る。娘もどうやら自力で全部できそう。
難しいところは講師の先生に訊きながら、頑張っている。

  

  

穴を開け損なうことも無く、あっという間に追いつかれた。
老眼で手元不如意で紐通しに時間が掛かるかーちゃん。
電気の線を通す穴を作っておいて、電球の台に嵌める。
乾いてしまうと皮が硬くなるので、少し湿した方が扱い易い。
小一時間かかって、それぞれランプを完成させる。
熱がこもらないように上部は開放。
見本にはもう少し複雑な形のものもあったけれど、シンプルな形で。

 

え? 早く点けて見せなさいって?
それは帰宅してからのお楽しみ。
明かりをつけて上からのぞくとこんな感じ
素敵でしょ。



豚の毛穴がそのまま自然の模様になって、不思議な感じ。
中には毛が付いたままの皮もあった。
余った皮は欲しい人どうぞということで、貰ってきた。
娘のクラフトワーク心に火がついてくれれば嬉しい。
ちなみにこういう豚皮は、手芸屋さんでは手に入らないのだそう。
関西では豚皮が屠殺場から出ないのだとか。本当?
豚足やその他の料理に使うために、捨てられることがないとか。
確かに、豚の耳だって「ミミガー」として売られているしね。

反対に関東では食する習慣が無いとかで、皮が余るので手に入るとか。
本当? 実際そうらしい。
東北人の父は、関西に来るまで豚足は知らなかったらしい。
韓国出張後、ホルモン料理や豚即に目覚めたけれど、
沖縄料理には疎いけれど、上手にお料理するのでは。
ああ、皮を見て皮の話を聞いているうちに、興味関心が食い気に。


生皮は匂いがしないということで、猫・犬・牛・豚の生皮を観察。
皮は臭いという先入観、皮の匂いというのは後からの加工状態、
薬剤によって処理された匂いであって、本来は嫌な臭いはしないのだとか。
おまけに皮をなめす過程で硬い皮が柔らかくなり、
また白い皮を作る日本古来の方法が今や廃れ、作れる人はただ一人だとか。
その秘伝の白なめし皮は作るのに時間がかかり、採算が取れない。
でも、神社仏閣で使われているものの修復には欠かせないというのに、
後継者がいない・・・。どこでも伝統の技の伝承は大変。


牛や馬を裁くのは被差別部落の人間の仕事なのに、
鹿は農民でも良かったとか、
日本には古来から伝わる白なめしの皮は1000年持つが、
薬剤処理の皮はせいぜい30年程度しか持たないとか、
手縫いの靴は機械縫いとどのように違うかとか。
初めて聞く話が多く、とても楽しかった。
娘も実際に作品を手にして満足そう。
難しい話の途中、あくびを必死にかみ殺して頑張って聞いていた。
偉い偉い。(親ばかかーちゃんです)
確かに、お話は難しかったね。


二人で頑張ったお陰で、予定時間内に完成!
クリスマス・クラフトとしはロマンチックな明かりが出来上がった。
この仕上がりをごろうじろ。素敵でしょ。
私たちもこんなふうに仕上がるとは想わなかった。
チラシの写真で見たのよりもずっと綺麗。
娘の皮が厚めでやや黒っぽいのに対して、私の皮は薄くて白い。
同じ電球を点けてみても明るさ、雰囲気が微妙に違う。
一つだけでもロマンチックだけれど二つ並べてみると、また趣が異なる。
(奥が私の、手前が娘の作品)


もちろんこの夜は親子3人、このランプの明かりだけで夕食。
晩御飯は素敵なディナーに変身! 
皆様もどうぞ手作りの明かりをご覧ください。
あと10日余りでクリスマス本番ですね。
今年は誰とどんな風にお祝いしますか?

心とカラダにやさしい魔法の照明術

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