Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

伏見銘酒協同組合 酒蔵開き

一昨年の灘の酒蔵開きに目覚めたのか、下戸の家人が伏見に行こうという。
寅年の年男だから伏見五福巡りでもすればいいのに、
よりにもよって、酒蔵・名水コースを?
やれやれ、どうなることやら。(実は私は今一つ乗り気ではなかった)
京阪電車中書島から各停で一駅、伏見桃山で降りて伏見銘酒協同組合へ。
春ならば名水スタンプラリーがある。
下戸の家人には、そちらの方が無難だろうと思うのだが。
鳥せい」本店の横では既に名水を求めてポリタンクを持った人が並んでいて、
名水・白菊水は飲めず。写真にだけ収める。

  


何でも後利益のある有難いお水が、あちこちに。
藤森神社(不二の水)  鳥せい本店(白菊水) 清和荘(清和の井)
キザクラカッパカントリー(伏水)  城南宮(菊水若水
月桂冠大倉記念館(さかみづ) キンシ正宗(常磐井水) 長建寺(あかすい)
大黒寺(金運清水) 御香宮神社(御香水) 乃木神社(勝水)

  


こんなに今日一日では回れない。とにかく、試飲を中心に初伏見探訪。
灘の魚崎郷での酒蔵開きとは趣が異なる。「神聖」の試飲(200円)、
鳥せい粕汁(100円)、その他今日にちなんだ野菜や漬物等物品販売。
人出は多いものの組合の催しのせいか、情緒的には今一つ。
特に今年から有料になったせいかどうか、定かではないが。
やはり、各酒蔵の気合の入った催しとは趣きが違い過ぎた。
午前中に味見をした「神聖」は、ワインの如き味わいだったが、
午後お開き前のものは、酸化した別の酒を出されたかと思うほど苦く驚愕。
(もしかしたら今風ではなく、昔風味のものだったのか)


その他、有名どころの濁り酒や吟醸など、幾つか試飲。
酒粕も買ったが、当初販売予定の吟醸酒粕ではなく残念。
鳥せい粕汁で体を温めてから試飲をしたのに、はや空腹。
娘は昨夜もかーちゃんの粕汁だった上、再び濃厚な粕汁の味見に
少々膨れ顔。しかし、酒袋で作った茶色の渋いブックカバーを買い求めた。
2000円余りと高価なのに、お年玉のせい? まあ太っ腹ー、趣味人。
かーちゃんときたら、漬物だの熨斗烏賊(するめ)だのに散財。
ちょっとした骨董の店も出ていたが、元より伏見は観光地。
整備された道、佇まい、ただでさえ龍馬ブームの観光客。
殆ど予備知識なくやって来た私たち。平日はお酒目当てではなく、
龍馬目当ての修学旅行生などが多いとか。

  


黄桜の暖簾が何ともいえない風情。ブランドって感じ。
黄桜資料館。ここでは、名水・伏水を頂く。
自由に飲めるようになっているんだものね。
どこにでもある酒造りの資料館で、特に目新しいものは無いが、
黄桜の宣伝にも使われている「河童の資料館」だけは面白い。
こういう薀蓄で暇つぶし、好きなんです。

  


地ビールも飲めるという黄桜河童カントリーで食事をしようにも、半時間待ちが出来ない家族。
どうせ、河童の資料館であれこれ読んでいるうちに30分なんて、
あっという間だというのに、やれやれ。次回リベンジだ。
私は清水崑の昔懐かしい河童に逢えて嬉しかく、温泉ほっこり気分。
引き継いだ小島功の河童はお色気むんむんで、それなりの良さはあるけれど、
私の好みは、やはりほのぼのとした初代の河童たち。

河童 (集英社文庫)

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新版 河童駒引考―比較民族学的研究 (岩波文庫)

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ぐるぐる回って御昼時。なかなか食べられる場所が見つからない。
ようやっとうどん屋さんで昼食。家人はお猪口1杯でまっかっか。
試飲の酔いが醒めぬまま、しょうもない会話で気分を取り直し、
龍馬が逃げるために走った小道と称する細い通りを歩く。
昔懐かしい桜茶を見つけたので、思わず購入。
お茶を習っていた時代、御茶席前の待合でよく頂いたものだ。

 


お店の方は「ご飯を炊く時に入れてもいいよ」と。なあるほど。
「お茶でも一服」と雁が音の熱いお茶を頂く。
お茶屋の娘やのに、お茶のお稽古もせんまま嫁に行ってしまったなあ」と
呟くように。私とて、せっかく習ったお茶もお道具もどこへ仕舞ったか。
茶箱、茶壷、茶器、こういう懐かしい店は本当に見なくなった。

  


土産物屋には取材カメラが来ていた。今日で見るのは2台目。
龍馬さまさまの宣伝合戦が今年一杯続くだろう。
さて、焼失後再建されたという寺田屋。現在も泊まれるそう。
15時半までの見学なので、急いで来てよかった。
いかつい幕末の志士の面々を背景に娘の写真をパチリ。

 

  


おりょうさんが風呂場から急を告げたという、その風呂だの、
坪庭や、書や、龍馬のピストルの模型だのと、コマゴマ盛り沢山。
でも、余りに坂本龍馬の宣伝が昨年末から続いていて食傷気味なので、
寺田屋に来た感激や感慨は無い。

  

 


大急ぎで酒造組合の最後の試飲を。味は朝よりも格段落ちている。
何故かわからないが、この味の差には家人も私もショック。
樽の前でモデルになってくれた、かわいいボク。焼き芋を片手に。
龍馬目当ての観光客ごった返す寺田屋よりも、酒樽の前のボクと、
川沿いに渋柿がたんと実って、その向こうに見える白壁の月桂冠の建物、
この方が遥かに趣き深い。

  


そして月桂冠大倉記念館。入館料は必要だが試飲も、
こんな記念のお酒も頂ける。なかなかいいでしょ。

  

  


こちらはお庭も綺麗。キリシタン灯篭なんかもあったりする。
展示されている様々な品々。そして、日の目を見なかった宣伝ポスター。
アールヌーボーの影響? なかなか艶かしい。

  

  


見学後の試飲は3種類。昔ながらの古風ではっきりとした味わいのもの、
今流行のあっさりしたもの、そしてカナダにも輸出しているという食前酒に
使われているという梅酒。とってもおいしゅうございました。

  


娘には甘酒とお酒の入浴剤。帰宅前に一服しようと、
大正時代の月桂冠本社を喫茶店にしたレトロな「伏見夢百景」でお茶。
何と言っても月桂冠には名水・酒水がある。
その水出し珈琲と酒シャーベットのセット・・・を頼んだら、
酒風味のシャーベットではなく、お猪口にお酒が。
酒・シャーベット、珈琲だったわけで・・・。
いやあ、試飲の酒が余計に回ってきたような気が。


下戸の家人も試飲で酔っているのか、「娘と抹茶プリン、
まあ、チャップリン」なんていう寒いギャグを飛ばしている。
いやはや、いやはや。ちなみに娘が食べているのは酒カステラ。
これにはお酒は付いていなかった。やれやれ。

  


さて、早く帰りたいので特急の停まる中書島まで歩いた。
まだまだ見所は沢山あるけれど、今日はこれでお仕舞い。
のんびり伏見そぞろ歩き。続きはまた今度、季節のいい時に・・・。

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