Festina Lente2

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歯のバイパス手術

バイパス手術になったらしい。結局破折ファイルは見えているけれど
取れそうにもなく、横から穴を掘るバイパス手術になったらしい。
うううう。


世間一般の人がバイパス手術なんて聞いたら、何事だと思うだろう。
私だってこんな言い方をするとは思わなかった。
歯の根幹治療で、針(ファイル)が治療用の道を塞いでいるから、
薬を充填する為に横穴を掘っているというのが説明だが、
実際、今日の今日まで、針が抜けてくれないかと祈っていた。
でも、その願いも虚しくバイパス治療に移行したらしい。 


というのは、主治医が顕微鏡を覗き込みながら、延々と作業。
針が取れたとも何とも言わずに時間が過ぎていくので、
だんだん不安になって来たけれど、神経を使う作業をしている主治医に、
あれこれ尋ねるわけにも行かない。
集中を欠いたらいかんしね。
とはいえ、黙っていられるとそれはそれで不安は募る。


やっぱり針が動きそうにないので、今からバイパス作りますねー。
そんな風に軽く、いや軽々しく言われると困るけれど、
何がしかの説明があって欲しかった気もするが、
主治医の側からしたら、前回、文書で説明済みだからと、
どんどん作業しているのかもしれないしね。

体調不良は歯で治る! (角川oneテーマ21)

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わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

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私は常々しっかり噛みたいと思っていた。
噛んで食べるのが好きで、齧るのが好きで、
歯応えのあるものを食べているのが好きで・・・。
柔らかいものでは食べた甲斐がないような、そんな気がしていた。
だから、この2、3年だ。おかきを齧らずに手で割って食べたり、
あらゆるものを柔らかく煮込んだり、梅干の種の中を割って食べたりしなくなったのは。


でも、こういう人間はある意味、歯科医泣かせであるらしい。
補綴咬合治療科の主治医にも、顔を見れば咬筋が発達しているかどうかわかる、
云々を言われたことがある。私はしっかり噛むタイプらしい。
でもって、補綴咬合治療においても師内治療においても、
「よく噛む人間」「噛み締めるタイプ」は、ただでさえ歯根歯折を招くので、
せっかくの治療も功を奏さないことがあるらしい。


例えば差し歯の治療。土台を埋め込むのに、その土台が楔となって、
せっかくの歯を割ってしまう。それは、補綴の技の見せ所なのだけれど、
割れにくいように注意せずに被せただけではあっという間に、
咀嚼の力でも、それ以外の噛み締めでも歯は駄目になってしまうらしい。
全く持って難儀なことだ。
補綴課の先生曰く、1日のうちで上下の歯が噛み合わさっているのは、
平均7分間ぐらい、だそう。ゆえに、ちょっとしたストレス、緊張、癖、
何かが引き金になってよく噛む人間、硬いものを噛みがちな人間は、
歯を傷めるリスクを抱えている。


治療の成功の後、経過観察で3年以内に駄目になるケース。
それで抜歯って言われても、インプラント不適合って言われても、
本当に困ってしまう。そんなたったの3年って・・・。
がんの手術の生存率だって、5年を持って成功と見る。
しかし、今は歯槽膿漏で抜歯よりも、歯の破折から抜歯に至るケースが
増えているらしい。それも、私の年代に。
要はある程度歯のケアをしてきて、それなりに食べられるだけに、
硬いものもバリバリ、元気に食べて、目に見えないひびが入り、
ある日突然、ちょっとした衝撃で割れる。


金属疲労ならぬ、歯の疲労は体全体に影響を及ぼす。
そして、当人の精神状態にも。
任せておけば絶対治る、という保証が無いだけに、
風邪や腹痛レベルではない治療に心が痛む。
大げさだと思うかもしれないけれど、
治療に難渋した人間でなければ、この不安や苛立ちはわかるまい。


それとも世間では年齢と共に失われていく歯に対して、
執着せずに諦めて受け入れていくもの?
まさか、そんなはずはあるまい。
でなければ、あちらこちらでインプラント大流行のはずないもの。
私自身は、抗生物質が効きにくいから、手術なるものは、
どんなものでも遠慮したくなるけれど、ね。


というわけで、次回に持ち越し。
バイパス治療は、続く。

歯を知る100の話

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