Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

京の七夕―白峯・清明・鴨川・八坂

気が付けば地下鉄はあっという間に今出川
地上に出てみると、新島譲で有名な大学が目の前に。

お隣は庭園があるらしい。奥に入っていけないけれど、
由緒あるお寺? 何て書いてあるかな。


目的地とぜんぜん違う所に来てしまったので、
道を聞きながら歩いていく。足が痛いのに・・・。
あれ? あの神社は笹飾りがまるで茅の輪のよう。
くぐればご利益があるのかな。

  


蹴鞠というものは知っていたが、蹴鞠の神様を祭る神社が、
祟り為す崇徳帝のおわします白峯神宮だとは。
そういえば蹴鞠をする場もある。
サッカーボールを始め、色んな球技のボールがお供えされて・・・。
有名人のサイン入りや、好きな人にはたまらないお宝がわんさと。

 

 


この碑のボールの部分は触れて回すことができる。
球技上達を願う人々は、お参りしてお願いしつつ、回すのだろう。
この時期踊りも奉納されるらしいが、残念、今日は平日。
土・日でないと見られない。せめて写真で偲ぼう。

 

  


私にとっては「われても末に逢はんとぞ思ふ」の和歌のある絵馬、
ちょっと特徴のあるお守りに目が行ってしまう。

  
 

さて、いくら日が長いとはいえ目的地は・・・。あった、五ぼうせい
清明神社。結構人が多いこと。子供連れも。
もう『陰陽師』のブームは去ったと思っていたのに、
まだまだ人気なんだろうか。一条戻り橋の向こうにお社が。
不思議スポットとして人気なんだろうか。

 


北斗七星を刻んだ地面、その向こうは井戸。
陰陽の文様に「せーまんどーまん」だろうか。
真新しく美しい社殿はいつ建てられたものなのだろう。
単に朱を塗り替えただけなのだろうか。


いずれにせよ、岡野玲子の『陰陽師』と映画の恩恵。
昔の威光が今の世にも鳴り響く安倍清明の人気は凄い。
その清明の坐像と共に、邪気を払う桃がでんと。
一瞬、桃太郎の桃かとも思うが、古事記の桃なのだろう。


 

 


寺院でありがたいお上人様の一生が絵姿になっているように、
この神社でも清明の伝記の内容が描かれている。
古典の世界でも昔からヒーローだったが、今現在21世紀も、
その霊力によって守られたいと願う人は後を絶たない。
私もそんなミーハー(古い言い方)の一人というわけで。
御土産を買い込んだ。清明紋、五芒星がきーらきら。

  

  


私は何も知らなかったが、「桔梗咲きました」の張り紙。
この花の咲く時期のみ、桔梗守を授けてくださるそうな。
桔梗の絵付けがされた土鈴まで。せっかくだから求めてみた。
あれまあ、清明の伝記を今話題の水木しげるが書いていたとは。
妖怪だけではなく、この方までも漫画にしていたのね。

  

  


確かに風情のある桔梗が咲いている。紫だけではなく、白も。
あれ、これは斑入りかな。珍しい。
狭い地所ながらも、千利休ゆかりの地でもあるということで、
時代を通じて名所となっている一条戻り橋界隈。
とうとう仕舞い支度の始まる18時まで長居をしてしまった。


  


社に石碑や狛犬は珍しくないが、式神の像までくっついているのは、
やはり清明神社ならでは。私の思う式神の姿とは異なり、
かわいらし過ぎるのではあるが。
名残惜しいこの場を離れて家人との待ち合わせ三条京阪へ。
バスの窓からは「京の七夕」の準備にいそしむ堀川界隈。


  

  



鴨川沿い、光と音のアート。竹篭に風鈴。
賽の河原なら殺伐としてしまうが、友禅を散らし、
竹筒に灯した蝋燭の揺れる炎も、川床を楽しむ人々も、
東海道五十三次のモニュメントとして立つ野次喜多の像も、
何もかもが京の風情に溢れている。
そんな京の夜のそぞろ歩きを、家人と楽しむ。

   

   

    


せっかくの笹飾りも、「8月なのにどうして」と騒ぐ二人連れあり。
旧暦というものを知らぬ若者は、京の町の演出に違和感を抱くのか。
世間では七夕祭りを昔通りに行う所も多いし、お盆前だというのに。
目くじら立てても始まらないが、少し哀しい。


  

  

  


反物を水に晒す風情も、京野菜を盛り付けた先祖への供養、
普段目にすることのできない民俗学的かつ味わい深い演出、
そういうものに目を奪われながら、三条から四条へ、
鴨川沿いに歩いて歌舞伎座のライトアップを眺め、
そのまま勢いで八坂神宮へ。

  

  

  


さすがにライトアップされているものの、人影は少ない。
夜のお参りは一人ではちょっと怖い。
何しろ広い、暗い、明暗のコントラストが大きい。
神聖な場所はそれだけに神聖なる闇への畏怖に満ちている。
無理に光を当てて美しく演出しようとも、夜の闇に静まり返る時間帯。
神々は人間の所業を如何に思し召してか。

    


提灯その他あちらこちらに芸者の名が見える。
美人になるようにお願いする社も。
今からではとっくに遅いが、写真だけでも。
歩き疲れてやっと辿り着いた夕食。


振り返れば超強行軍の一日。
明日もう一日研修があるのに、大丈夫かしらん?

陰陽師 ―安倍晴明の末裔たち (集英社新書)

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『陰陽師』読本―平安の闇に、ようこそ (文春文庫)

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