Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

同窓の集い

髪を黒く染め、少しだけ若い振り。身綺麗にして背筋を伸ばし。
同窓・同業者の中にあって、しょぼくれ疲れて見える訳にはいかず。
若くないけれど、若い振りをしたいわけではないけれど、
少しばかり若めいて見えるようにしておきたい。
そんな気持ちが、私に髪を染めさせる。
滅多にしない化粧もしてみたりする。


後に続く筈の若い人、後輩、今、一から頑張っている人間の未来が、
しょぼくれているなどと、頑張れど頑張れど、働けど働けど、
報われないことも多々あるなどと、どうして言えよう。
なかなかしんどさ・辛さは消えない、
そんなマイナスのメッセージを伝える訳にもいかず。


その年になればなったで、新たな課題は山積。
そんな当たり前の事を、理屈ではわからぬ事を、今取りざたせずとも、
ひとたび体験すればわかること。百聞は一見に如かず。
あれこれ今から示さなくとも。
(この心の余裕の無さ、段取りの悪さを
どうして解消すればいいのかわからぬまま)


当たり前のようにしてきたこと。
当たり前すぎて人任せにして、意識せずに来たこと。
当たり前のように年を取ってきたのに、往生際悪く抗いたい思い。
髪の白さを認めたくなく、覚束ない視線を老眼のせいにして、
途切れ途切れの記憶力を振り絞って、失敗を取り繕う技だけ長けて、
えっちらおっちら、決して軽やかではない足取りで、
石橋を叩いて確かめる手堅さよりも、多少のひび割れでも渡ってしまえの
強引な厚かましさだけ身に付けたような。


誰の範でもなく、師でもない。
誰の友でもなく、誰の知り合いでもない。
誰の親でもなく、誰の子でもない。
「袖触れ合うも他生の縁」など、何になると、
勢いに任せて肩で風切って歩いたりする。
そんな「人でなし」になってしまわないように、
少しだけ背筋を伸ばし、普段より良いものをこざっぱりと身に付け、
少々の取り繕ったとしても笑顔を交わし、軽く会釈し、
誰彼と無く会話を楽しみ、また、楽しめる振りをし、
場を潤す役割を持つ「大人」であろうとする。
「社会人」らしく振舞おうとする。


思いがけず出会い、知り合う場、何とはなしに試される場、
今は亡き人々を偲び、かつての日々を懐かしみ、会うは別れの始め定め、
今ひとたびの逢瀬の宴。その場に出向くのに、ほんの少しの身繕い。
見た目も気持ちも取り繕う、それがどれほどの咎(とが)なのか。

懐かしいアメリカの歌 東京混声合唱団愛唱歌集

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ほんの少し髪を染め、(それさえも勇気がいるのに)
日々の辛さ、切ない思いに、ふんわりとベールを被せ、
夜目遠目傘の内、現実はその場にたったその時に、
身を持って知ればいい。
言葉尽くせど、分からぬこともある。(分からぬ事の方が多い)
以心伝心で伝わる思いもある。


ただただ人の中に在って、何もせず突っ立っているのも、芸が無い。
来たからには何かを得、何かを返すのが礼儀。
常日頃、得られぬものをどこかで取り返したい思い。
懐かしさというオブラートに包み、いっとき、心休ませるもよし、
新たなるライバル意識を刺激され、あと10年頑張ってみるかと、
前向きになるもよし、先輩風吹かすもよし、その時次第。


されど、年を取るということは、何と下の者に優しくなれるのか。
(期待する事を諦めたというわけではなく)
その若さ、初々しさへの眩しい思い、まっさらな未来を反射する、
その光に照らされて、風の色まで変わるような気がする。
年をとり滅多やたらと偏屈になり、無闇に厳しくなる面もあるに、
同窓の同業者の集いとなれば、話は別か。
(所変われば何とやらの、雲泥の差もあるのだが)
若い人に、その場にいるというだけで、見知らぬ人に、
何とは無しに声援を送ってしまいたくなる衝動、
これは年老いた者の、人の世の常?


そうやって振り返れば、駆け出しの頃。
先輩諸氏、大先輩達はそんなふうに見守っていてくれたのだろうか。
今あれこれ言ってもパンクするかもしれない。
まあそこそこに、それなりにわかってくれば、追々身に付くことだと。
年も取り、人並みに世の浮き沈みも経験し、為せばなる事も、
為さねばならぬのに為せぬこともあるのを、
殊更とやこう言っても始まらぬと、長い目で化けるのを待つと、
穏やかな柔らかい眼で見つめてくれていたのだろうか。


時計台の前、芝生は広がる。夕暮れ時、なだらかな山を従え、
心持ち空気は秋色、爽やかな緑の香り、おちこちに広がる気配。
ああ、この気配。学び舎の静かな夕べ。
今日もまた、明日に続く、当たり前すぎた若き日々。
無限の時間を抱いていたかの如く、若さを浪費した日々、
屈託ない無駄な時間を、夕日の中に垣間見る。

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風にそよぐ空の翼 ♪ 
その大空に羽ばたく翼をいつ鍛え、いつ羽ばたかせたのか。
今となってはわからぬままに、懐かしく、ただ懐かしく、
自分の立ち位置のあやふやな哀しさを振り返り、
これを経験というのか、キャリアというべきなのか、
生活の為の手段と割り切り、そつなくやり過ごすことの、
後ろめたいほどの心の痛さを、夕風に流す。


杯を掲げ、腕を組み、(かつての)若さを謳歌する。
その遙か彼方を顧みて、またいつの日か、いつの日か。
風にそよぐ空の翼 ♪

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