匂いの科学
続きを読む以降、写真に解説を付け加えました。
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サイエンスカフェ再び。急いで戻ってみれば、駅は大混乱。
オープンキャンパス終了時間とぶつかり、人の波、波、波。
匂いは生活の中では重要だが、命に関わるすったもんだがないので、
余り重要視されていないような気もする。気にする人は気にするが。
私自身は、この2,3年の間、
風邪や副鼻腔炎、ストレスや歯科治療で喉を傷めた際に、
鼻も一緒に駄目になってしまったような気がする。
嗅げる匂いはあるけれど、限られてきたような、種類が少なくなったような、
少なくとも匂いに対して敏感というよりは、時差が大きい(遅く感じる)、
もっと強く感じてもいいはずなのに弱く感じる、
時々異臭(焦げたような匂い)を感じることがある。
治療は個人差が大きく、続けて戻る人も要れば、戻らない人も。
すぐに戻っても、一定の時期だけで駄目になるばあいも。
ステロイドはずっと使えない。治療の一つの目安は二ヶ月。
新しい匂いに反応する細胞が生まれて活動できるかどうか。
初めて匂いがわからなくなった時のショックを綴った日記はアクセス数が多い。
→http://d.hatena.ne.jp/neimu/20090218
今は定期的な通院はしていないし、匂いは弱くしか感じないが、
生活に大きな支障はない。たまに感じる時があると、
町中どんだけに追いに溢れているんだと驚くぐらい、色んな匂いに満ちている。
その匂いの強さに圧倒されてしまうくらい。
食事を作っていると、家族がいい匂いと言ってくれる。
作っている本人は余りわからなかったりする。
全くわからないのではなくて、近くまで持ってくるとよくわかる。
とにかく、どこかが傷ついて弱ってしまい、距離的なもの、
種類的なもの、その敏感さと幅広さの受容が緩慢になってしまった、
自分の嗅覚に対して、根気良い治療なのか、
今のままを受け入れていくのか。悩ましいものではある。
体調なのか、副鼻腔炎なのか、ストレスなのか、ミックス。
原因がはっきりしない。複合だとしか言いようがない。
母も次第に嗅覚を喪っていったから、加齢と共に弱る素質があるのかも。
父は高齢でも匂いに関してはとても敏感だから、それは言い訳か。
とにかく、人一倍匂いに敏感でたまらなかった人間が、
匂いに対して鈍感にならざるを得なかったのは、
色々思い当たることが多いのだが、とにもかくにも匂いの科学。
今日の集まりは医学的な説明の場ではないので、
そういうものが知りたい方はこちら→
さて、今日の匂いの話は植物や虫たちが主役。
人間はさておき。ちなみに加齢臭(ノネナール)は何故出るのか。
生物として繁殖不適応な存在になってきたから、だそう。
ですから、若い女性でも加齢臭は出ており、
実は男性よりも女性は加齢臭が早く出るのだとか。
まあ、女性の生殖適齢期は男性に比べて短いから仕方ないとはいえ、
ちょっと微妙な心境。
匂いそのものとしては男性の方が強いらしい、ですが。
生物学的な問題として「匂い」を扱うと、奥が深い世界。
匂いの元は化学物質とはいえ、良い香りもあれば悪いものも。
生きるのに大切なものもあれば、不要としたいものも。
でも、匂いがあるからには役割があるわけで、
それがわからないとなると、実際哀しい・・・。
ちなみにラピラズリの青の匂いは・・・?
鉱物だから匂いがしないと思いますか、それとも?
色彩は何かしらの香りと結びついているような気がしませんか?
自分にとっては忘れられない何かと・・・。
今日の話の流れは
“匂い”ってなに?
“匂い”を使った生物たちのコミュニケーション
“くさい匂い”は魅力的?
匂いの採集と分析方法
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匂いのもとは化学物質。だから天然のものもあれば、人工のものも。
最近はトイレの匂いが芳香剤の香りが強くて、
秋に金木犀の香りを嗅いで「トイレの匂いだ」という子供もいるとか。
本末転倒ですねぇ。
というわけで、本物のバラと香料を付けたバラを嗅ぎ比べ。
本物を間近に知らない人は、人工の香りを本物と思い込んでしまうのかしらん。
匂いは記憶に結びつくので、知らないで育つと区別がつかなくなるのかも。
言語活動以外にテレパシーで? 一口にフェロモンといっても色々。
以心伝心ならず、昆虫たちは匂いでコミュニケーション。
それは植物にも出来ることだと、講義後半で知らされびっくり。
むろん、動物は匂いを用いるのは必須。
人間だって体調や食べ物によって体臭が変わるのは知られている。
意図せずとも発せられる匂い、臭い、におい。
何かを知らせるため、情報のやり取り、相手を誘うため、
危険を知らせるため、敵を威嚇して身を守るため、様々なにおい。
このオオトカゲは毒をもつ牙でイノシシをがぶり。
傷ついたイノシシは逃げてもいずれ死んでしまう。
その死臭を頼りに匂い(カイロモン→受け取る側に利益)を辿って
獲物にありつく。動作が鈍くても、確実に獲物をゲットできるのだそう。
逆にわさびは虫に食べられたくないから、
独特の香り(アロモン→出す側に利益)を出して身を守る。
残念ながら、その香りは人間が大好きなんだけれど・・・。
お互いに持ちつ持たれつの関係で、植物と昆虫。
美味しい物を上げる代わりに、世代交代子孫繁栄助けてねという、
協力体制、共生関係にある生物の世界もあれば、
相手をおびき寄せるだけおびき寄せて、実は何もあげない。
多々働きさせて自分だけ特をするという、ちゃっかりした植物も。
動けない分悪知恵が、いえいえ、生きるための進化が進んで。
それでなくても根っこも葉っぱも見当たらない、
世界最大の花といわれている巨大な花ラフレシア。
余りの腐臭に人食い花ではないかと恐れられたらしいが、
確かにこの花は寄生植物。別の木から栄養を貰い花を咲かすのに2年。
3日で枯れるというから、受粉は命がけ短期決戦。
とんでもない匂いでハエを呼んで仕事をさせる。
ハエは自分の卵を産み付けたくて腐臭を頼りにやってくるのに、
目的を果たせず、花粉だけ運ぶ羽目に。
哀れ、ハエ君。単なる送粉者として利用されるだけ。
同様にこの蘭の花も、雌に見せかけた花を咲かせて
匂いで雄をおびき寄せ、雌にガッツリと抱きついたはずの雄は、
雌を抱えて飛び立てるはずが、残念ながら偽モノ。
くたびれ損、諦めて飛び立つ時、花粉を運ばされる羽目に。
交尾をしようと必死に雌獲得に動く雄、
その動きに合わせて揺れる蘭、虫の頭に花粉が付いて・・・。
また次の花に誘われて引っかかって、花は受粉。
でも蜂は・・・ちょっとかわいそう。
と、こんな風に匂いで子孫繁栄に向けて、動かぬ植物、
体を張って? 頑張っている様子が。
・・・いい匂い、食べ物ばかりに引かれやすい私が、
匂いに鈍感になっていったのは、ダイエットせよとの天の声?
あれこれ思い悩みながらも、香りや匂いにまつわる話、
まだまだ聞きたいけれど、定刻。
本日は淀川の花火大会もあり、お開きとなった。
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