Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

小言・よしなしごと

休みの日、相も変わらず一日中ご飯作りと買い物だけに追われている気がする。
娘は娘でやることがあって忙しいはずなのに、のんびり構えている。
この世間を知らないがゆえの「のんびりさ加減」が、恐ろしい。
3分や5分で出来ることを、それこそ着替えや洗顔などでも、
急ぐことなく悠々としている、これでいいのか?
こんなにトロくてもと不安になる。
私の親もこんなに不安だったのかな?
特に食べるのが遅い。周囲のペースに合わせて食べることなどせず、悠々。


5分で出来ることを10分、10分で出来ることを・・・。
結局宿題が終わらず、予定がこなせず、どんどん出来なくなることばかり増え・・・。
幼い頃は「這えば立て、立てば歩め」で、出来るようになることが増え、
楽しいばかりの育児だったが、小学校に入ってからは違う。
全てに置いてゆっくりさん、運動が苦手でドッジボールで逃げ回っているのは、
保育園時代からだけれど、色んなところで頑固なゆっくりさん。


なのに、本を読むことだけは速い。
でも、とばし読みだから複雑な内容は読めない。
読み込むことが出来ない割に、つまらないことを覚えるのは速い。
興味の問題かも知れないが、今風の軽い読書ばかりなので、
読み込む鍛え方がされていない。曖昧なまま雰囲気で動いている。
そういう読みでは物語の中心までしっかり食いつくことが出来ず、
感性に頼った解釈ばかりが先行するのに。


昔、母親に良く叱られた。
夢見がちでぼーっとしている所は、似て欲しくなかったのに似ている。
なので、長じるにつれて切ない思い出がダブる。
私の小言は過去から繰り出される繰り言、親から言われたそのまま。
聞きたくなかった親の小言を、今、自分の口から発する生活。


非現実的な夏炉冬扇ばかりを気に入るような、
そんな思いで、ふわふわと漂っている。
小学校から中学校に掛けて、殺伐とした思いの募る高校受験というものは
多少なりとも世渡りに必要な、ちょっとした世間的な感覚を
教えてくれたかも知れない。が、それも知れたもんだ。
結局大学もそのままふわふわと過ごし、就職してからあっぷあっぷしたっけ。


遅い、とろい、反応が鈍い、一を聞いて十を知る心構えでなくてどうする。
二度と同じ事を聞き返すな、自分で考えろ、何のために家に辞書がある、
自分で調べろ、計算しろ、見通しを立てろ、そんな小言を何度言われたことか。
賢い人間は1時間を1時間として使わない。
同時並行で色んな事をしながら、時間を有効活用せよ。
同じ事を何回もしないと出来ないのは、馬鹿だ。
そういう小言を何度も言われた。
母の小言はきつくて繰り返しが多くて、うんざりさせられたが、
それは日常生活の中では普通のことなんだろうか。


微に入り細に入り欠点をあげつらわれて、褒められたことは殆ど無く、
余程自分は愚鈍な子どもなのだろうと思って大きくなった。
褒められたい願望は後を引き、長くトラウマとなって残り、
自己承認が出来ない、自己肯定感が低い、そんな自分を少しずつ、
軌道修正しつつも、全てが矯正されているわけでもなく・・・。


そういう苦い思い出を引きずっている「いい年をした大人」なのに、
娘の行動規範の「のんびり軸」には苛々させられてしまう。
自分の子ども時代のことがだんだん遠ざかり、わからなくなり、
目の前の娘が成長するにつれ、だんだん遠ざかり、わからなくなり、
この渦の中にあって、自分が子どもを守るどころか自分から溺れている。
情けなや・・・。


早く沢山出来ることがそんなに重要? と思いつつも、
目の前のことが出来ないと、全て出来なくなってしまうような、
そんな錯覚も。
これぐらい出来ているからまあいいか、そんなふうに思えない事が増え
かーちゃんの要求水準のハードルは高くなる一方。
子ども時代のトラウマにリベンジするが如く、娘を鍛えてどうなる?
どうなるものでもないのに、いや、どうにかしないと、
どうにかするのは親の責任、そんな思いばかりが空回りする土曜の昼下がり。


叱られないのは本の中の世界だけ。ピアノを弾いている時だけ。
勉強と習い事の時間は、親から自由になれる時間。
親の小言が飛んでこない時間。
最初の頃は、ピアノの練習を遊んでサボっていたから
叱られたけれど、その後は没交渉の時間を確保するために、
譜面に向かっていたような、音楽の楽しさだけピアノの魅力だけで、
弾き続けていたのではないような、そんな気がしてならない。


娘に小言を言い、娘のピアノを耳にし、家の中にいてもいなくても、
あれこれ気ぜわしい中でよしなしごとを相手に、
自ら疲れを溜めているような、休日の夜が更ける。
急がなくていいよと、声を大にして自分にも娘にも、
堂々と言えたらいいのに。

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