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「ジーザス・クライスト・スーパースター」リメイク

ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012』を観る。
リメイクというと語弊があるか。


Jesus Christ Superstar [DVD] [Import]

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かのロック・オペラをイスラエルでロケ敢行、
ノーマン・ジュイソン監督のミュージカル映画と並べるわけにはいかない。
これは、あくまでもミュージカルの舞台から歴史の舞台へと、
現代から過去の物語、神話伝説の聖書の世界へと移行して繰り広げられた、
純然たる正当派世界の作品だったけれど、今回は違う.
興業された舞台、アリーナでの再演、いわば現代舞台、ミュージカルの舞台そのもの、
それを観客席からは見えない角度でも映像で撮れると言っちゃ何だが、
リアルタイムで中継したようなもの。
ジーザス・クライスト=スーパースター アリーナ・ツアー2012』は。


でも、見たかった。大阪での年末の上映を見逃したので、
仕方なく隣県、西宮北口まで行く羽目になったけれど、
今日を逃すと見る機会を逸してしまう。
この時期、こともあろうにこの時期、大震災を思い出させるこの時期に、
西宮北口に行くのは精神的な抵抗が大きいが、致し方ない。
ミュージカルの舞台の実写化、余り期待をしない。
期待をし過ぎてはいけない。
本来のライブ感を味わえるわけではないから。


ロック・オペラと称される映画、ミュージカル映画
舞台を映画として取るか、舞台を舞台として取るか、
どのように演出するかはそれぞれの立場にも拠るだろうが、
私にしてみれば、思春期の自分に多大な影響を与えた映画を、
その映画の印象をぶち壊すようなことだけはしたくない、
そうなって欲しくない一心で、でも怖いもの見たさのような、
そんな気持ちもあってその場に臨む。

公式facebookこちら


『アンドリュー・ロイド=ウェバーによる
 最新舞台がハイクオリティ・ライブ映像として甦る!』
こんな風に宣伝されたら、見ないわけにはいかないじゃないか。
ジーザス・クライスト=スーパースター
イスカリオテのユダの目を通した、イエス・キリスト磔刑までの最後の7日間。
最初の公演は1971年に北米のアリーナツアー、その後ブロードウェイで上演。
1972年にはロンドンでも披露、8年間におよぶ3,000回以上の公演。
これまでに42ヶ国でプロの劇団による公演が行われ、毎年300のアマチュア公演が公式に認可。
劇団四季の公園もこれに入るわけだ。(私はそれほど感動できなかったけれど)


ヒット曲には、「スーパースター」「私はイエスがわからない」
「彼らの心は天国に」「ホザンナ」などがあり、40ヶ国以上、19ヶ国語で発売。
その「ジーザス・クライスト=スーパースター」のために
レ・ミゼラブル 25周年記念コンサート」、「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」など
ミュージカル公演のライブ映像化を手がけた撮影チームが結集。
2012年10月5日にイギリスのバーミンガム・ナショナル・インドア・アリーナ公演、
それを、デジタルの大映像で見る・・・。


ティム・ミンチン(ユダ)
メラニー・C(マリー・マグダレン)
クリス・モイレス( ヘロデ王)
ベン・フォースター(イエス・キリスト)
残念ながら誰も知らない。それに興味も湧かない。


やっぱり自分にとっての『ジーザス・クライスト・スーパースター』は、
中学2年生で生まれて初めて見たミュージカル映画で、
生まれて初め貯金まで下ろして買ったLPの中にあるサントラ盤の音で、
このライブ映像の音や演技ではないんだなとしみじみ実感しながらも、
こういう現代的な演出になるんだと、改めて感じ入った。


ジーザス・クライスト・スーパースター ― オリジナル・サウンドトラック

ジーザス・クライスト・スーパースター ― オリジナル・サウンドトラック


ケータイやスポーツジム、銃撃やテロの映像が流れる、
現代世相が切り貼りコラージュで流れる、そういう背景をバックに。
でも、私にとってのキリストはチェロキーインディアンの血を引くテッド・ニーリーで、
ユダは鬼籍に入った黒人のカール・アンダーソンで、
マグダラのマリアは日系ハワイ人イヴォンヌ・エリマンでしかない。
舞台は荒涼とした砂漠でしかない。


知らず知らずのうちに口に出てくる暗唱していた歌詞を、
このアリーナでの歌に重ねて歌っていたけれど、
どこか違う、何かが違う。違いすぎる、
そして私は思春期の少女ではなく、1973年ではなく
あれからいったいどれくらいの月日が流れたか。
その間私はイスラエルにも赴き、かの地も歩いたが・・・。
ニューヨークにもロンドンにも行ったが・・・。
私の心の中の世界は、いつも、あの中2のクリスマス・お正月映画の時代、
LPレコードを貯金を下ろして買った中3の夏、
そこに戻っていく。


新しいものを見ても、新しいものは新しい世代に受け入れられればいい。
自分の世代のものではないと、寂しく実感してしまう。
リメイクはあくまでもリメイクと感じてしまう。
そんな自分を再確認しただけになってしまった。


ジーザス・クライスト・スーパースター』関連過去記事は
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20090623
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20080918
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20071202
などをご覧ください。


それにしても、見たいのか味わいたいのか、
あの時代を髣髴とさせる映画。
聴きたいのか、あの頃を思い出させるあのメロディ。
いつまでも囚われている、心の中まで沁み通っているあの頃。
いつまでの古いスタイルだけにとらわれていてもいけないのかと、
新しいバージョンのアルバムを買っても聞く気にはなれないまま。
何日も過ごしているのだけれど。