Festina Lente2

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『ダイアナ』

絶対に見たいと思っていたわけではないが、何しろ実在した人物の伝記映画、なのだ。
おまけに彼女の夫は結婚前から周知の事実の不倫をしていて、
彼女の死語、その女性と結婚さえしている。
俗に言う、借り腹状態で王室に嫁し、跡継ぎを産み、
嫁ぎ先に絶望し、離婚し、再婚を夢見て、別の人生を歩み始めた時に、
不幸にして亡くなる?(消された?)という悲劇の女性が主人公なのだ。
野次馬根性と言われても、少し見てみようかな、そんな気になった。


彼女は目立つ存在だった。
現代のシンデレラとまで言われた。
王族や貴族の結婚がどんな物かわからないが、
日本の皇室よりも遙かに開けた関係とゴシップのただ中にあって、
物語とも言うべき人生が展開して行く。


下世話な言い方をすれば、どう見ても世間知らずのうちに、
何もわからない知らない花を摘んで、香りを嗅いで、無残に放り出した。
そんな気がしないでもない、結婚までとそれから。
一人の女性が女性として成熟し、成長し、母として女性としての時間を全うする、
それを許さずに放り出した、そんな気がしてならない。


立場が人を作ると言うが、着せ替え人形と広告塔に近い扱いを受け、
たいしてハンサムでもない皇太子を支え、王室のイメージアップを図り、
その劇的な人生の幕引きで、王室にとっての後顧の憂いを残さぬ形で、
消えて逝ってしまった、その人生が十分に描き切れていたかというと、
それは疑問。


酷評されているのは仕方が無い。記憶に残らない、風化しかけた
(一部の人にとっては風化して欲しい)意図を持って作られた、そんな作品。
ただ、女優さんの演じる姿は美しい。
そう、彼女はプリンセス、老いることを知らないシンデレラのまま、
おとぎ話に隠れるように、世俗的な生々しさをばらまき続ける前に
消えてしまったのだから。
だから、もうどんな憶測もスキャンダルも届かない。

そして薔薇は散った―ダイアナ妃事故3年目の真実

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