リルケの詩から
『オルフォイスへのソネット』から1篇
「春がまた来た」
春がまた来た 大地は
詩をおぼえた子供のようだ
たくさんの おお たくさんの詩を・・・永い勉学の
苦しみの酬いに 彼女は御ほうびを貰うのだ
彼女の先生はきびしかった ぼくたちは
老先生の白い髯が好きだった
いま あの緑は何 青は何というかと
ぼくたちは訊いてもいいのだ 彼女にはできる 答えることができる!
大地よ 自由になった幸福な大地よ
さあ 子供たちと遊ぶがいい さあ お前をつかまえるぞ
うれしそうな大地よ いちばん快活な子がお前を捉える
おお 先生に教わったことを たくさんのことを
それから木の根や 長い気むずかしい幹に
印刷されていることを 彼女は歌うのだ 歌うのだ!
- 作者: リルケ,富士川英郎
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