Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

巡回と逡巡

沢山のニュース、画面からラジオから紙面から・・・。
溢れる文字、溢れる声、音、色、響き、フレーズ、それから・・・。
走馬灯のように過ぎていくという感じ、回転木馬の上から眺める景色、
私が動いているのか、世界が動いているのか、逆転に次ぐ逆転。
いや、私はじっとしている。家の中、もしくは職場で。


エリツィン大統領の葬儀の画像。ロシア正教会が映って驚愕。
4半世紀前、ソビエト旅行時、悲惨だった当時の教会を思うと、
何とも言えぬ感慨。まるで、「嘘」のような儀式が展開。
歴史の流れの中で、誰が動いているのか止まっているのか、
進んでいるのか、逆戻りしているのか。


島尾ミホの孫娘の記事。何かしらDNAの為せる業を思い、
北海道の景勝地が、つまらない政治の影響を受けなければいいと思い、
あれから○年経ちましたといっても忘れられない悲惨な事故、
地震関連ニュースには、どうしても鼻がツーンとしてきたりして。


世界中に飛び交う様々なニュース、自然と見聞きせざるを得ない。
ざわめきの押し寄せてくる小さな浜辺のような、私の心。
波打ち際に漂い、流れ着くのは何だというのか?
「メッセージ・イン・ア・ボトル」のように、思いがけない、
心引かれるものばかりではないものの、
それなりに、何ともいえぬ余韻を残していく。
・・・そして、私は思い巡らす。

            

生活している小さな地域で、行ったり来たり。
ブログの世界で人様の世界を覗かせて頂くひと時、巡回。
私個人の頭の中で行ったり来たり、逡巡。
小さな刺激を、心温まる話題を、ドキッとする言葉を、
深く考えざるを得ないことを、はっとさせられる一言を、
冷静に仕事や日常生活の情報を、心安らぐ景色を、
様々なものを求めて、求めて、求めて・・・。
何のために求めて、求めて、求めて・・・。


私の仕事は軌道に乗っているのかどうか。
毎日、あまりにも色々なことが起こっているのだが、
それなりに、解決? しているというか、回っているというか、
頭を悩ませる会議の回数以外は、それなりに流れている。
不思議なくらい流れている。
いや、流してしまっているのか?


この頃、自分の仕事はたこ焼きを焼いているようなもの、
・・・かもしれないと感じ始めている。
ためしてガッテン」の、美味しいたこ焼きの焼き方ではないが、
上手に焼くには年季がいる、コツがいる、技がいる。
早くきれいに焼こうと焦るとろくなことがない、
奥の深いたこ焼きの世界。


熱い鉄板の上を、手際よく、じっとタイミングを見計らって、
一つ一つ世話をしながら回転させて、いつの間にか、きれいな丸にする。
まるで本人たちが、自ら丸くなったような、そんな感じさえする。
そう、たこ焼き自身に、自分で丸くなったように思わせる、
錯覚させることが必要なくらいの手際よさで、
ひたすら、個別に、サービスを続ける、この世界。
一見単調な繰り返しの連続。


そう、私はまるでたこ焼きを焼いているよう。
熱くて熱くてたまらないけれど、誰も交代してくれない
そんな鉄板の上で、お料理素材をコナモンを、
幅広い年齢層に受ける美味しい食べ物を、
でも料理らしい料理とは、なかなか世間には思ってもらえない、
そんなたこ焼きを、ずっと立ったまま焼いているような、
そんな感じ、がしてきた今日この頃。


余計な手を加えず、タイミングを見計らい、最終形を目指す。
途中色々あったとしても、熱々の中身を損なわないように、
かりっとした外側を目指す。焦げ焦げにならないように。
海苔やソースやマヨネーズはご愛嬌、お好み次第。
相手を傷つけないように、そっとすばやく手を入れ、返す。



「リ・フレーム」されたことが、一瞬わからないうちに、
世界が新しく広がり、展開し、見晴らしが開け、
知識が知恵に、恐れが経験に、想像が現実に、過程が結果に、
変化し、受け入れられるようになるまで、
一つ一つのたこ焼きが、ユングのいう所の個性化の過程を辿る
曼荼羅のような、たこ焼きの台、湯気立ち上る丸と四角の連続。


たこ焼きに重ね見る仕事。
一人一人を見ていくことの難しさを思い、
仕事から乖離して、なお、自分を御し切れぬことに忸怩とし、
どこかの見知らぬ誰かの言葉に癒されたり、同感したり、
感じ入ったり、憤慨しながら巡回を逡巡を続けている。
心の具は、外の世界から私の中に注ぎ込まれ、
熱々の蛸で、ぴりりとした紅しょうが、細身のねぎ、
薬味として、心と体を助ける、


今ここがお立ち台、人生は舞台、たこ焼きはたこ焼き台。
お勘定は御代。回る回るたこ焼き台の上でたこ焼きの人生、
串刺し、回転、焼きを入れられ、型に嵌められ、色を塗られ、
舟に載せられ、たこ焼きの人生は楽じゃない。
でも、それが人生、それが仕事。それが人生。
丸くなるまでが大変、丸くなっても大変。
丸くならなきゃ売り物にもならない、ままならぬ人生。


巡回、逡巡、転回、展開、それから先は?
ウロボロスの蛇のように、あいまいな円を描く
どろどろのコナモンを注ぎ、女媧とまでは行かなくても、
心を込めて、たこ焼きを作ろう。
突き立てられた爪楊枝はイグドラシルのように、
小さな経木の船の舵を取る。



心は熱いままで、その中身はいつまでも熱いままで、
ハレの日もケの日も食べられるたこ焼き、であり続ける人生。
そんなたこ焼きを作る側に立っている、自分の仕事。
そういうたこ焼きになれるか? 自分自身。
わからない、わからないままに、巡回、逡巡する日々。
転回、展開する明日が来るかどうかは、わからない。