Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

2011 大山崎山荘 秋の中国茶会 その1

(写真は大きくなります)
再び京都大山崎の地を踏む。歌人が見つけてくれた催し、
中国茶の茶会だという。大山崎秋茶会のこの秋のテーマは「一年好景」。
あの暑い夏の日が嘘のように、爽やかな風の吹き抜けるこの日。
先着にはお土産もあるという、わずか1000円で4つのお茶席。
(美術館入館料は別途必要)
普段は非公開の茶室も含めて、緑移ろう色の兆しも美しい庭園で、
様々なお茶やお菓子を味わう、誠に麗しい秋の1日と相成った。
(前回の記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/neimu/20110801


まずは、勝手知ったる送迎バスに乗るために、JR駅前の駐車場、
早速バッタのお出迎えを受ける。山荘入り口には茶会を催す印だろうか。

 
  


「茶室 彩月庵」での「枯蓮席」で頂く蓮花茶が一番人気なのか、長蛇の列
少々肌寒さを感じつつ待つこと1時間余り、竹林や石畳、色なき秋の風を受け、
順番が来るのをひたすら待つ。やっとお茶室が見えてからも長かったこと。
さて、色んな茶器が並んでいるのは、マイカップ持ち寄りのため。
お猪口や本格的な中国茶ようの茶碗、日本茶の茶碗など、それぞれ思い思いに。


    
  


昨年の蓮、一昨年の蓮など枯れたものをわざわざ飾っているのも珍しく、
なるほど「枯蓮席」なので、お道具類もそれにちなんだもの。
蓮がお茶になるというのは、ベトナム料理店で知った私。
こういう席で使われる蓮茶は如何なるものぞ。
それは、私の頭の中でがいわゆる「花茶」の類の一つ。



お湯の中でシダにほぐれて水中花の如く花開く様を楽しみつつ、
香りや味わいをも愛でる幽雅なお茶席だった。
睡蓮花茶(こうすいれんかちゃ)の茶席。
印象派の巨匠モネの《睡蓮》を所蔵しているこの地ならではのお茶。


    
  


お菓子を頂き、ガラスの水盆から匙で分けられるお茶を頂く。
一期一会の人々と同じ部屋で解説を聞きながら、小さな碗の一杯を飲む。
あれほど長い時間立って待っていたのに、いや、随分待たされたからこそ、
何だかとても価値のある一服に思えてしまったこの席、この蓮茶。
ちなみにとてもあっさりとしたお味。頂く順番としては1番最初で正解とか。


    
    


茶会と聞くと年配の人が多いイメージがあったのに、ここ、山崎山荘は、
軽井沢? のような若い参加者が溢れていて、ちょっと不思議な感じ。
日本茶、茶道よりも中国茶の方が若い方にブームなのだろうか。
名残惜しいので室内もパチリ。額や花を生けるのは、茶道と同じ?
でも、若い人々が「お茶が好き」というのはいいことだし、
時間があれば香道も茶道も華道もと、手を広げたいのだけれど。


    
  


「一年好景」は宋代の詩人蘇軾の詩から。     
蓮の花は、折り枯れて、雨をうけるかさもなく立ち、
残菊の花は、すがれても、なお、霜に負けず咲いている。
しかし、君よ、心にとめてほしい。一年の好い景色は、
だいだいの実が黄色に、みかんの実が緑色に色付く、正に今だ。
「初冬作贈劉景文」より

中国茶巡礼

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中国茶で楽しむ十二か月 (別冊太陽―生活をたのしむ)

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さて、高台にある茶室から下って、次はジャスミン茶に当たるお茶。
小さく丸い茶の葉を女の子の指輪に見立てて設けられた「玉環席」。
"女児環(女の子の指輪)"という名前のお茶は爽やかな空気と良く合う、
そしてちょっと冷えた体を温めてくれる味だった。
野点のように外で、立ったまま頂いた。お菓子は栗ぼうろ。


    
  


さらに、お茶の世界での見せ所はお茶そのものばかりではなく、
趣味の品である細工を凝らした品々。
お道具類を見せて頂くのは初めて。小さい小さいかわいらしい品々。
ミニチュアな世界、好きな物ばかりを箱に詰めてピクニック気分のお茶。
そんな感じがする気楽なお茶席だった。


    
  


こうなれば昼食は諦めて、一日中全てのお茶席をまわることにした。
せっかくの機会を逃してなるものかと、次の席に並ぶこと、15分ほど。
"橡の木茶屋"での「九曲席」。中国の紅茶、九曲紅梅が供された。
一見小さなログハウスにしか見えない小屋。トチノキの側にあるからか。


    
    


外では金木犀が香り、やや薄暗い中ではみんながとりどりの碗を並べて、
中国の紅茶なる物が供されるのを待つ。紅茶と言うべきか、烏龍茶というべきか。
上の席から下の席になるに従って、次第にお茶は濃くなっていくよう工夫されている。
アルコールランプのようなものが目の前に。
魚の形をした木の皿はお茶の葉を載せてみんなに見せるため。
そのままさらりと、土瓶の中へ。


    
  


それぞれのお茶席の趣向が異なるため、わくわくどきどきしながら
お茶が注がれるのを待つ心持ちは、久しく味わうことがなかった。
たまに出かける中国茶館は自分で注いで自分でお湯を足して飲むので。
それにしても、お茶請けのお菓子が様々で面白い。
ここは柚子の砂糖漬け。いかにも中国紅茶にぴったり。


    
  


それぞれの茶室に生けられた花、掛け軸、それとなく置かれているお道具、
どれもこれも興味深い。じっくり見る時間が無くて残念。
大勢と一期一会のゆったりとしながらも、入れ替え制の慌ただしさ。
これもまた、仕方のないこととはいえ名残惜しい。
そして先ほどの橡の木茶屋をしたから見上げると・・・。


    
  


さて、最後残りの茶席はあと二つ。
どんどん下って、山崎山荘を見上げる庭園へ。
どんなすてきなお茶席が待ち受けているのか。続きをお楽しみに。

和の中の中国茶―穏やかな共生の世界

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中国茶で毎日ごきげん!

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